処分性について

住民票の記載をするよう申出し、申出拒否した行為について処分性を検討する際に、処分性の定式(①公権力性②法効果性)で判断するのではなく、申出が「申請」にあたるのかについてフォーカスする必要があるのでしょうか。②法効果性のところで、事実上の応答にすぎず、法効果性が否定されると述べるのは過ちでしょうか。
いつもの論じ方と異なるところの差異がわかりません。
よろしくお願いします。
2021年1月9日
公法系 - 行政法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

もちろん、①公権力性と②法効果性で判断することとなります。
ただ、住民票の記載を求める申し出の場合、考え方が異なりますね。

まず、ある住民について新たに住民票の記載をする行為は行政処分に当たります(ただし、世帯主との続柄の記載の処分性は否定されています(最1小判平成11年1月21日判タ1002号94頁)。)。
しかし、住民票の記載に処分性があるとしても、これを促すための「申出に応じないこと」が行政処分に該当するかは別問題です。

「申出に応じないこと」に処分性が認められるのは、申出をする権利があり、応答をする義務がある場合です。
換言すれば、②法効果性の判断で、申出人が法令に基づく申請権があるならば、これに対する拒否は、申請権という手続的な権利に対する侵害であると判断していることとなります。

したがって、②のあてはめとして、申請権の有無にフォーカスされているという理解でよいと思います。

2021年1月9日