ご指摘の通り、手段債務の債務不履行が認められる場合、それと同時に帰責事由も認定できます。
平成25年民法の採点実感では、「本問で問題となる賃借物の保管義務はいわゆる手段債務であり、債務不履行という要件と責めに帰すべき事由の不存在という要件が表裏一体の仕方で問題で問題となるという特徴がある」とされています。
なので、手段債務の場合には、債務不履行の判断の際に、認識・認容又は注意義務違反の判断も経ることとなりますから、この認識・認容又は注意義務違反は、帰責事由である故意又は過失を構成するものともなるので、
債務不履行が認められた場合には、「前述の通り、という認識・認容又は~という注意義務違反が認められるのだから、故意又は過失が認められる」として、端的に帰責事由を認定すれば足ります。
なお、「原告である債権者の側で客観的な不完全履行を主張立証し、これに対し原告である債務者が帰責事由の不存在ないし免責事由存在を主張立証するべき」とする見解もあるようです。
2015年12月25日