手段債務は当該具体的状況下において、結果(たとえば委任契約の典型例である弁護士との契約において依頼者の依頼を実現できなかったこと)の実現について、合理的な注意を払っていたか否かが債務不履行責任の内容となります。
手段債務においては、合理的な注意を払っていたことそのものが問題となるため、帰責事由(故意過失)の問題と債務不履行の問題が同じになります。
そのため、手段債務においては、債務不履行を認定すると、帰責事由の認定もしたことになります。
債務不履行と帰責事由については、手段債務においては書き分ける必要はありません。
たとえば、会社法の任務懈怠なども手段債務と解されていますが、債務不履行すなわち任務懈怠の事実を指摘すれば、別途帰責事由の認定は不要です。
すなわち、任務懈怠について認定すれば、それは帰責事由についも認定したことになり、帰責事由について別途認定すると必要はありません。
2015年12月31日