三者間の憲法の主張について

「被告の反論は端的に」と聞きます。しかし、被告は原告の主張に対して反論し、かつ、私見で反論が認められないと合憲とならないように思える(ex:原告の手段必要性に反論し、認められたとしても、手段相当性について反論ができていない(原告の主張を潰せていない)ことから、手段適合審査を満たさず、違憲となる)のですが、答案などを拝見すると、原告の主張のあてはめ全てについて反論していません。反論のイメージが原告のストーリー・被告のストーリーをぶつけ合うイメージがあるため、原告の主張に対し、あてはめ全てについて反論しなければならないという誤った理解になっています。私の理解のどの部分に誤りがありますか。
2020年6月15日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
「誤り」があるとは思いませんが、要するに結論が分かれるポイントだけを反論すれば足ります。
争点整理をしっかりして、判断の分水嶺を整理するとよいのではないかと思います。
あてはめレベルの反論は、水掛け論になりがちですので、あまり評価されにくいように思います。
たとえば、目的達成に役立だないとは言えないけど、役立つことを支える立法事実がないようなケースでは、ここを「ある」「なし」で争うより、判断枠組みをどうするかで争う方が生産性が高いでしょう。
また、手段必要性についても、より制限的でない手段によっては目的が達成できなかったことの立法事実の裏付けがあるかは、問題文で決着がつくケースも多いと思いますから、この場合も判断枠組みが争点となります。
事実評価で争うとすれば、立法目的が法的保護に値するといえるか、経済的自由において狭義の積極目的でない積極目的を考慮してよいのか、特定産業の保護をしてよいのかなど、判断が分かれ得るものとなるでしょう。
いずれにせよ、総花的に反論をしようとするのではなく、結論が分かれるところのみ、端的に示せばよいと思います。
その勘所は、判例の「重要な事実」や、学説の対立を学ぶことで鍛えることができます。

2020年6月15日


匿名さん
丁寧がご回答ありがとうございます。
参考にさせていただきます。
結論としては、争点となる当てはめの被告の反論について
認められれば、合憲となるとのことで問題ないでしょうか(当てはめについて全て反論しなくても合憲となる)。
いつも回答が的確で大変わかりやすいです。ありがとうございます

2020年6月15日

そうですね。
合憲とならない反論をしても意味がありませんからね。
その意味では、合憲となるように話をまとめて書くのがよいと思います。頑張ってください!

2020年6月15日


匿名さん
たける先生のご回答を見て、だいぶ憲法の答案のイメージがしやすくなりました。ありがとうございます。
たける先生の意見をまとめると、保証・制約・正当化(権利の重要性・制約の度合い・裁量の広狭)については争点となる部分について相手方の反論として出し、目的手段審査については、水掛け論になりがちなので、相手方の反論としてださずに私見で厚く書けばよい(「確かに~しかし…」というように事情を拾う)という理解でしょうか。

2020年6月16日

>保証・制約・正当化(権利の重要性・制約の度合い・裁量の広狭)については争点となる部分について相手方の反論として
とありますが、保障の有無、制約される権利、制約態様、立法目的など、いわゆる「重要な事実」をめぐって対立をすることになろうと思います。

あてはめについては、上記の通り、立法目的が法的保護に値するといえるか、経済的自由において狭義の積極目的でない積極目的を考慮してよいのか、特定産業の保護をしてよいのかなどは、反論とすることも可能であろうと思います。

2020年6月16日