平成18年司法試験(行政法)について

1. 設問1でセットバック義務不存在確認訴訟を論じる実益が分かりません。セットバック不存在が認められても2項道路であることにはわかりないため、論じる実益がないように感じました。2.本件通路に対する2項道路指定不存在確認訴訟についても上記の2項道路一括指定の無効確認訴訟は、あくまでも一括指定の違法性を争うものであるから、本件通路が2項道路に該当しないことを主張することができない理由をご教示いただければと思います。
2020年5月12日
公法系 - 行政法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
①当事者訴訟で勝訴した場合、その人だけは違反でないことになります。絶対的効力がなくとも相対的効力があれば目的は達成できます。
②「本件通路が2項道路に該当しないことを主張」が何を意味するのか理解できていないかもしれませんが、本件道路を対象とする個別的な行政処分があるわけではないので、争いようがないからではないかと思います。

2020年5月13日


匿名さん
最後に質問させてください。①資料2のAの発言で「Eさん…納得がいきません」から、セットバック義務不存在ではなく、当該通路部分が2項道路に当たらない旨の当事者訴訟(処分不存在確認)を提起は可能ですか。②確かに先生のH18の答案にあるようにセットバック義務不存在確認では、無名抗告訴訟になり、公法上の当事者訴訟に当たらないにとどめてあったと思いますが、無名抗告訴訟として問題に答えることは厳しいですか。③処分不存在確認訴訟(3条4項)が考えられますが、補充性は問題とならないのでしょうか。①の当事者訴訟との関係で両立しないように思えました。よろしくお願いいたします。

2020年5月13日

再質問をいただきありがとうございます。

①処分不存在確認の当事者訴訟は、実質的には処分それ自体を争うものとして、当事者訴訟を提起することはできません。
平成24年最判(君が代予防訴訟判決)をもう一度復習しておいてください。

②無名抗告訴訟の余地はありますが、令和元年最判(命令不服従訴訟判決)の趣旨によれば、実質的な取消訴訟ないし無効など確認訴訟であるとして、緩和された訴訟要件での提訴はできないと思われます。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88816
こちらも重要判例解説に登載されていますから、復習をしておいてください。

③処分がなされている以上、処分がないことを前提とする処分不存在確認訴訟は現実的ではありません。
実質的にも、なされている処分が要件を満たしていないことを争いたいわけですから、そもそも処分がない!という主張は困難です。

2020年5月14日


匿名さん
①ご回答いただきありがとうございます。令和元年の判例も拝見させていただきました。確かに、この判例を見る限り、不利益処分の予防のための無名抗告訴訟は難しいですね。判例解説watchの湊教授の解説の二の最後の2文に予防的抗告訴訟と差止訴訟の訴訟要件について触れていますが、同一のものと考えてよいでしょうか。前者が後者よりも厳格と解されるよりもあると記載されており、伊藤先生の見解をお聞きしたいです。②また無名抗告訴訟については確認の利益より、差止訴訟の訴訟要件で今後検討していくべきでしょうか。

2020年5月15日

①本判決は、無名抗告訴訟としての予防的確認請求は、少なくとも、差止訴訟よりも緩やかな要件ではないと述べるにとどまり、同じなのか、さらに厳しいのかは、何ら述べていないと解されます。どちらの解釈も成り立ちます。
②一般的なのは三要件ですね。ただし、差止訴訟の各訴訟要件(と本案勝訴要件)は、この三要件を具体化したものですから、検討内容は同じではないかと思われます。ただし、一義的明白性の要件まで求めるべきかは、①との兼ね合いで争点です。

2020年5月15日