政教分離と特権付与(憲法20条1項後段)

同後段を「国家の宗教的中立性を具体化した条項」(基本憲法P120)、国家の宗教的中立性と解した場合、「特定の宗教団体を他から区別して特別扱いする場合」が特権付与にあたることは理解できます。
しかし、下記の点が中々理解できません。

Q)同書P120では、特権付与には、「宗教団体一般を非宗教団体から区別して特別の利益を付与すること」、国家の非宗教性を害する場合も含まれるとされています。この場合も特権付与に含まれる論理を教えていただきたいです。
「特定の宗教団体を他から区別して特別扱いする場合」、すなわち国家の宗教的中立性を害する場合のみが、特権付与にあたるのではないかと考えてます。
2020年4月28日
法律系資格 - 司法試験
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
当該部分の文責が私にあるわけではないので、正確な回答になっていないかもしれません。
私の理解では、20条1項後段は、通常は「特定の宗教団体を他から区別して特別扱いをする場合」を想定したものであり、その意味では「国家の宗教的中立性を具体化した条項」といえるという趣旨であろうと思います。
ただ、国家の非宗教性をも保障する本書の立場からすると、「宗教団体一般を非宗教団体から区別して特別の利益を付与することも含まれる」というロジック化と思われます。
一読するとわかりにくいため、改訂のときにディスカッションしてみます。
ご意見いただき、ありがとうございます。

2020年4月30日


匿名さん
ご回答ありがとうございます。
当該部分の論理が理解できました。

付随して質問させて下さい。
Q) 第6講答案例の「特権」の規範(P3L21〜P4L2)・あてはめ(P4L3〜)と、それ以前のP3L6〜L20の論理との間に少しズレがあるように思えるのですが、先生はどのようにお考えでしょうか?
P3L6〜L20のように解釈した場合、「特権」の規範を基本憲法P120に記載されているものとは異なるものに改変した方がいいのではないかと考えています。

2020年5月1日

ご指摘ありがとうございます。
この部分は、基本講義憲法の答案例は、私個人の見解ですから、本文と異なることがあります。
私自身の論証では、宗教的中立性を原則としつつも、制定経緯から神道のみを厳格分離とする立場です。
もっとも、「宗教団体一般を非宗教団体から区別して特別の利益を付与すること」は、原則違憲とは言えなくとも、非宗教団体とあまりにも差が大きい場合、無宗教者との関係では、過度の関わり合いが認定できるように思います。

2020年5月1日