民事訴訟法 基準時後の形成権行使と限定承認の主張について

既判力が基準時における訴訟物についての判断に生じると考えると、①取消権・解除権のように訴訟物自体の消滅事由については既判力により遮断される②相殺や限定承認のように訴訟物自体の消滅事由等ではないが、紛争蒸返しになるようなものについては、遮断されないが、期待可能性の有無についても検討するべきである、のではないかと思います。
①②の両方について、同要件をたてている方が多かったので、全く別物ではないのかと疑問に思いました。①②のような整理は誤りでしょうか?また、誤りであればなぜでしょうか?教えてください。
未設定さん
2015年12月10日
その他 - その他
回答希望講師:加藤喬
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
加藤喬の回答

①と②はいずれも訴訟物の消滅事由に当たると思います。

おそらく、前訴で争われた法律行為自体に付着する瑕疵かどうかという区別ではないでしょうか。

その上で、①と②を別物だと感じる原因は、上田徹一郎先生の実体関係的手続保障説っぽいところにあるのではないでしょうか。

この見解は、基準前の事由の遮断を判断する上で、手続保障の充足について、個々の当事者の主観に着目するのではなく、当事者の実体法上認められた法的地位がその事由につき前訴基準時前に主張・立証を尽くしておかなければならなかったような地位であるかという客観的な基準により判断するものです。

この見解によると、取消権については、実体法上の地位との関係で、当事者は前訴で主張・立証を尽くすべき地位にあったといえ、遮断されるが、

解除権については、原告たる債権者の場合であれば、本来の履行請求や解除権行使・損害賠償請求かの選択権があるわけなので、前訴で解除権を行使しなければならないという実体法上の地位にないこととなり、遮断されないこととなります。

なお、②について、遮断されないのであれば、期待可能性の検討は不要ではないでしょうか。

既判力については、上田徹一郎先生の、民事訴訟法(法学書院)がお勧めですので、是非読んでみてください。

2015年12月11日


未設定さん
加藤先生

質問のご回答への御礼が遅くなってしまい申し訳ございません。
既判力の理解が足りず、先生のご回答を理解するのに時間がかかってしまいました。上田先生の教科書を読んでみます!!混乱した質問にも関わらず丁寧にご回答いただき本当にありがとうございます!!

2015年12月15日