H21経済法第1問

1.設問2について、企業結合で検討したのですが、出題趣旨・ヒヤリングで企業結合ではなく、不当な取引制限で検討するよう要求されています。企業結合で検討するのは誤りですか。2.企業結合の条文は10条1項か、15条の2第1項のいずれになりますか。3.企業結合の際に、川上・川下市場の双方を検討するイメージなのですが、本問は川上については、問題とならないため、検討が不要ということでしょうか。4.企業結合の際の単独行動は主体はA・B・甲のいずれになりますか。
2020年4月17日
法律系資格 - 司法試験
回答希望講師:中山涼太
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
中山涼太の回答

1 本問は,全体として,Xの製造販売市場にかかる競争停止の可能性というテーマで構成されています。設問②は,物流市場というミニマムな視点で見れば,確かに企業結合が現れると言えますが,設問②は,よりマクロなX製造販売市場という視点から,各社の意思連絡の恐れや,X価格に占める物流コストの割合から起き得る価格競争停止の恐れを問うているのです。それが本問の暗黙のルールです。共同での会社設立=共同新設分割=企業結合規制と即決するのではなく,もう少し俯瞰の視点で問題文を呼んでみましょう。
2 あえて条文を挙げるならば15条の2の方です。本問で株式取得・所有は登場しません。
3 本問をあえて川上市場(部品販売市場)と川下市場(X製造販売市場)に分けるならば,そのとおりです。川上市場は,スケールメリットによる値引き交渉という点で価格・数量競争があり,何ら弊害要件的要素がありません。
4 本問は,上記のとおり企業結合は問題になりませんが,一般論でいえば,企業結合による単独行動の主体は,合併や会社分割の場合は,企業結合後の会社です。株式取得の場合は,株式を取得される会社が,いわばマリオネットとして,単独行動を行う主体となります。

2020年4月18日