1 市場画定の場面では、①②のような行為の主観的要素はひとまず無視して市場画定して良いと考えます。
2 自由競争減殺の場面では、個人的には、排除効果があれば自由競争減殺のおそれありと認定し、①②は正当化理由がないことの事情として拾えばよいと考えます。他者を排除するような行為が敢えて行われることは、行為者が①②の主観を有していることの現れである、という推認が可能だからです。というか、排除効果があれば、大体は①か②に当てはまります。
3 ただ、通説的には、単独取引拒絶は、契約自由の原則に基づく取引先選択の自由として位置付けられており、①②を用いて、さながら憲法の定義付け衡量のように違反要件を限定するのがセオリーです。
そうは言っても、やることは2の場合とさほど変わりません。行為に至った背景事情と排除効果に基づいて①か②を認定できれば自由競争減殺のおそれありと書き、認定出来なければ自由競争減殺のおそれなしと書けば良いと思います。
この結論が出れば、正当化理由の有無は検討しなくて良いでしょう。結果的に正当化理由を検討するのと同じ事をやっているからです。
なお、①②は例示であり、すべての問題で①②を両方検討しなければならない訳ではありません。そこは百選等で事例をストックし、問題ごとに対応してください。
2020年4月13日