百選83事件(星商事事件)について

お世話になっております。以前ブランド間・ブランド内競争について質問をしたものです。先日はご回答いただきありがとうございました。星商事事件において、輸入総代理店による並行輸入妨害が問題となっていますが、中山先生はこの事案においては、どのような市場を画定しますか?ジョンソンジョンソン事件では、ブランド内のみを市場画定したのですが、かかる事案においてもブランド内のみを市場として検討したほうが良いのでしょうか?
2020年2月29日
選択科目 - 経済法
回答希望講師:中山涼太
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
中山涼太の回答

私なら、星商事と輸入販売業者を供給者とした日本国内におけるヘレンド製品販売市場を画定します。取引段階を意識すると、星商事の方の商流は星商事→百貨店等→一般消費者、輸入販売業者の方の商流は自社(→自社小売店舗)→一般消費者となり、取引段階と需要者がずれているので、星商事と輸入販売業者は競争関係を持たないようにも見えます。この点は、星商事の直接の需要者である百貨店等が星商事の設定した希望小売価格を遵守することに照らし、星商事と輸入販売業者とが実質的な競争関係にあると考えます。
ブランド内競争・ブランド間競争については、星商事事件の事案だと具体的なブランド間競争が登場しないので、ブランド内競争の市場を画定すればよく、ブランド間競争の市場は無視して良いです。
百選解説に出てくるブランド間競争の話は一般論に過ぎません。

2020年3月1日