資生堂東京販売事件について

資生堂東京販売事件(百選71事件)について、最高裁が、①合理的な方法で②同一条件が課せられていれば、「不当」に当たらないとしているところ、これと、市場をどのように合わせて答案で書ければよいか悩んでいます。最高裁の判旨で考えてしまうと市場をどのように使えばよいかわからないので教えてください。よろしくお願いいたします。
2020年2月26日
選択科目 - 経済法
回答希望講師:中山涼太
回答:1

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中山涼太の回答

資生堂事件の①②の要件は、現在では『正当化理由』という文脈の問題として捉えるのが一般的です。
行為要件を検討し、
弊害要件(効果要件)=公正競争阻害性の検討の中で、
・市場を画定し、
・事件に則して自由競争減殺の有無を検討し、
・正当化理由があるかどうかを検討する
という流れが基本です。まずは、ここの理解がずれていないかをご確認下さい。
その上で、正当化理由と市場との絡みについて解説します。
①の要件は、憲法でいう目的審査であり、市場における商品役務の特性・それに対する需要の特性に着目した検討が可能です。
②の要件は、憲法でいう手段審査であり、川下の小売市場における供給者(小売店)に対する資生堂の行為の必要最小限度性に着目した検討が可能です。
以上の視点で、もう一度判旨をお読み頂くと、答案への落とし込み方が見えてくるかと思います。
なお、資生堂事件判決自体は現在あまり評価されていない判例なので、正当化理由を検討する際に同判決の2つの要件を一般化して答案を書くのは非常に危険です。近年の本試験の趣旨・実感では何故かこの判例が推されていましたが、疑問なしとしません。その辺りは文献をお読みになり、復習された方がよいでしょう。

2020年2月27日