まず注意点ですが、ブランド間競争とブランド内競争が登場するときに、安易に両者を並立させて市場を考えてはいけません。
問題となる行為がどの市場を対象とし、あるいは影響を与えているのかという観点から検討対象市場を選ぶのが基本です。
ジョンソンエンドジョンソン事件で百選がメインで取り上げているのはブランド内競争に影響を与える行為なので、ブランド内競争の市場を画定して問題を検討するとよいでしょう。その意味で、質問後段のご理解は正しいと思います。ブランド間競争を含む広めの市場を画定する必要はありません。
ただし、ブランド間競争においてジョンソンエンドジョンソンのコンタクトがもつ競争力(指名購入する一般消費者がおおいという事情)は、小売業者にとって『ジョンソンエンドジョンソンの商品を失うと川下のコンタクト小売市場での競争が困難となるためジョンソンエンドジョンソンには逆らえない』という意味で問題となる行為の拘束力の強さに直結します。その観点からは、広めの市場を画定しないまでも、ブランド間競争を含んだ問題検討が必要になるでしょう。
2020年2月27日