低価値表現の答案について 2

名誉棄損については和歌山事件をつかって処理するというのはH30予備の解説を読んでわかりました。
ただプライバシー侵害の場合はどのように処理すればいいのでしょうか。

扇動表現で明白かつ現在の基準を使うと思うのですがこれは審査基準として使うのか、それとも定義づけ考量として保障の有無を決めるのでしょうか。

工藤先生はわいせつに関しては定義づけ考量は難しいので、審査基準を緩める形の方が書きやすい旨指摘がありました。わいせつ、性表現は審査基準を緩めて、名誉棄損は判例を使った定義づけ考量
をしていくというように低価値表現の中でも答案作成を変えるべきなのでしょうか?
2020年1月15日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
低価値表現については、事案類型により、適用される判断枠組みが異なります。
わいせつは定義づけ考量、性表現の時・所・方法の規制の場合は内容規制あるいは時・所・方法の規制とするかが争点、名誉毀損的表現は判例の3要件、犯罪の扇動は判例を批判して明白かつ現在の危険ということになりましょう。
他方、プライバシーについては、判例が利益衡量基準を適用していることから、やむを得ないのではないかと思いますが、近年の裁判例では「重大かつ回復困難な損害」を要求し、表現の自由を保護するものもあります。
また、同じプライバシー侵害でも、事前差止ならば、北方ジャーナルの射程を及ぼすことも考えられなくはありません(週刊文春訴訟判決など)。
詳しくは新しい百選の62番の解説をお読みください。

2020年1月16日