権利の制約の強度について。

こんにちは。
初学者のためお恥ずかしい質問になりますが、
よろしくお願いします。

平成30年の司法試験予備試験・憲法の過去問の
答案例を見ていたところ、謝罪行為の強制が
強度の制約にあたると記載されているのを見かけた
のですが、
制約の強度というのは、何を基準にどう判断
すればよいのでしょうか。
基本書を読んでいても見つけることができなかった
ので、よろしければご教授お願い致します。
未設定さん
2019年8月19日
法律系資格 - 予備試験
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
通常は、「強い」「弱い」というのをアドホックに検討するのではなく、どの事案類型に該当するのかを問うべきでしょう。
思想・良心の自由であれば、制約対象が「思想・信条」といえるのか「内心」にすぎないのか、制約態様が思想の強制・禁止などの直接的制約なのか間接的制約なのか、といった観点が重要になるでしょう。
平成30年予備試験ですと、謝罪の強制をどうとらえるかがポイントです。
謝罪広告判決は、憲法19条違反とはしていませんが、理論構成として、「内心」は保護しないとしたのか、保護されるが正当化できるとしたのか釈然としません。
ただ、謝罪広告事件は、他人が対象者の名義で「謝罪する」という文言を勝手に掲載することの是非が問題となっていたのに対し、本問では、謝罪行為そのものの強制です。
その意味で、判決と「区別」したうえで、憲法19条違反とすることも十分可能でしょう。
このとき、「内心」に反する行為の強制として、内心の侍従に対する直接的制約と構成できます。
もっとも、思想・信条よりも保護の程度は低いので、厳格審査基準を適用すべきか、それよりもゆるやかな基準とすべきかは論点でしょう。
いずれにせよ、制約の強度というのは、基本書などに書いてある、事案類型のどれにあたるのかという観点で判定するのがわかりやすいでしょう。

2019年8月20日