ご質問ありがとうございます。
まず、学説や基本憲法などは、表現内容規制と表現内容中立規制に分けていますが、判例は、意見表明そのものに対する制約と、時・所・場所の規制によって意見表明に対する一部規制と捉える二分法をとっています。
憲法の流儀の講義では、判例ベースに攻勢をしているため、表現内容規制を意見表明そのものに対する制約、表現内容中立規制を一部規制と理解しています。
そのため、判例の理解によると、学説上は表現内容規制とするものも、意見表明に対する一部規制と理解されています。
たとえば、有害広告のみをインターネット上で禁止する場合、学説からは表現内容規制といい得るものの、判例によれば単なる手段規制であり、意見表明そのものに対する制約ではないとなります。
また、表現内容規制と表現内容中立規制という二分法は、事前抑制の法理が適用されない場合に補充的に機能するものです。
このあたりは受験新報の連載などでアップデートした解説もしていますので、ご参照いただけますと幸いです。
2019年8月5日