法曹の世界を目指すきっかけは、中学2年生のときに見たドラマでした。中学3年生で野球部を引退すると、その時から検察官を志し、早い段階で具体的な目標を持てたことが、現在の自分につながっていると感じます。
中央大学に進学後、学部1年生のゴールデンウィークから基礎講座の学習をスタートしました。しかし、最初に取り組んだ民法の「総則」や「物権法」の難しさに直面し、大きな壁を感じました。当時はコロナ禍でオンライン授業が中心だったため、分からないことを気軽に周囲へ質問できず、ひたすら我慢しながら講義を受けるしかありませんでした。その結果、学部時代のうちに民法を克服することはできませんでした。
大学1年生の10月から論文対策を開始しました。弁護士の指導のもと、問題を解きながら議論を行うゼミに参加し学習を進めました。初めて論文を作成する際には、「法律を動かしている」という感覚で楽しみながら取り組むことができました。もともと文章を書くことが得意だったため、長文の作成自体には抵抗はありませんでした。
しかし、振り返ると、学部時代は講義を深く理解せず、表面的な知識にとどまっていたと感じます。学部では基本的な知識で十分でしたが、ロースクールでは学説の背景や判例の深い理解が求められました。その違いを実感したのは、ロースクール入学後に取り組んだ、司法試験の過去問を使ったフルスケールの答案作成のときでした。
ロースクール入学後、私は友人5〜6人と自主ゼミを立ち上げ、司法試験の過去問を2時間かけてフルスケールで解く訓練を行いました。2時間の答案作成に慣れることが目的でしたが、試験時間が50分程度で事足りた学部時代よりも長文を書く必要があり、法律論が不足していたため、途中で筆が止まることが多く、大変苦労しました。また、時間配分も難しく、最初は小問1つに1時間を費やしてしまい、3問をバランスよく解くことができませんでした。さらに、長時間の執筆に慣れておらず、30分ほどで腕が痛くなることもありました。
それまで得意だった論文作成が、実際の司法試験レベルでは通用しないことを痛感しました。表面的な知識だけでは論理的な展開ができず、途中で詰まってしまう。さらに、時間管理や持続力も不足している。この経験を通じて、単に「書くこと」に慣れるだけでなく、深い理解と戦略的な解答作成が求められていると感じました。
ロースクール既習1年目では、基本的な理解が不足していた私の場合、1時間の授業に対して3時間以上の予習が必要であり、学部時代とのレベルの違いを痛感しました。私は、一度理解すれば知識として定着しやすいものの、理解に時間がかかる傾向がありました。そのため、単なる記憶に頼るのではなく、「なぜそうなるのか」を深く考えながら学習することを重視しました。
予習は大変でしたが、これが合格へのターニングポイントとなりました。膨大な課題に取り組む中で、最初は授業前に予習メモを作成し、それを基に準備を進めていました。やがて、そのメモを友人と共有するようになり、毎週紙で配布する形へと発展。最終的には、テキストや判例を引用し、答弁書をあらかじめ作成するようになりました。
友人に配布する以上、他者が理解できる内容にする必要がありました。そのため、自分の理解をさらに深める努力を重ね、講義以外の時間のほとんどを自主学習に費やしました。1日12時間に及ぶ勉強を続けた結果、知識の定着が進み、論述の精度も向上。さらに、自分の言葉で説明することで理解が深まり、より論理的な答案作成が可能になりました。
また、答弁書の作成を通じて、当初苦労していたフルスケールの論文作成にも対応できるようになりました。克服できた要因は、答弁書作成を通じて培った知識の深い理解と、ひたむきに数をこなした経験にあると考えています。友人たちと切磋琢磨しながら繰り返し練習することで、2時間の論文を書く体力がつき、分量やスピードの感覚も身につきました。
インプットの際には単なる暗記に頼らず、科目ごとの判例や学説の比重を意識しながら理解することを重視しました。この姿勢が、アウトプットの精度向上に大いに役立ちました。自主ゼミは2年生(既習1年目)の途中まで続けましたが、早い段階で司法試験の論文答案作成に取り組めたことで、2時間の試験時間の感覚を掴むとともに、論述量や答案の流れを体得することができ、非常に貴重な経験となりました。
1年目の後半(秋学期)には答弁書作成にかかる時間が短縮され、徐々にロースクールの学習に慣れていきました。しかし、新たな課題として、憲法の論文対策に苦戦するようになりました。他の科目では基本書を読めば、そこで覚えた概念や考え方を論文に応用できましたが、憲法に関しては知識を増やしても、それを論文答案に活かすことが難しかったのです。
そこで、既習1年目の夏休みにBEXAの『憲法の流儀』を受講しました。この講座では、権利ごとに整理され、事件が表になっていたため、判例の使い方をわかりやすく学ぶことができました。さらに、判例や学説の理解が深まり、結果として憲法の論文対策に大いに役立ちました。
司法試験の短答試験対策として「短答過去問パーフェクト」に取り組みましたが、興味が持てず、結局半周しか進めることができませんでした。そこで、代わりに逐条テキストと択一六法を通読し、それを軸に試験対策を進めました。多くの受験生と同じ勉強法でなくても、自分に合った方法を信じて学習を続けたことが、今の自分につながったと実感しています。
司法試験を受ける年の3月には、答弁書作成で鍛えた知識の深い理解と、膨大なインプットを積み重ねた自信により、合格への手応えを感じることができました。そして、ロースクール2年目で、実際に司法試験一発合格を果たしました。
振り返ると、学習のインプットとアウトプットの割合は8:2でした。しかし、単なる暗記にとどまらず、知識を本質的に理解することを重視したことで、応用問題にも対応できるレベルに到達できたと思います。答弁書の作成を通じて、深い理解を伴うインプットを徹底したこと。それが、合格へのターニングポイントにつながったと確信しています。
苦手だった刑事系科目の結果はBでしたが、その他の科目はすべてAを獲得することができました。選択科目は、学部3年目に履修し、暗記量が少ないと評判の経済法を選びました。その結果、上位6%に入ることができ、満足のいく成績を収めることができました。
しかし、振り返ると、行政法が得意だったことを考慮し、環境法を選択していれば、より効率的に学習を進められたのではないかと思います。
基本書は複数に手を出すのではなく、一冊に絞る方が効果的だと考えています。また、多くの人が一日の学習時間を複数科目に分散させる方法を取っていますが、上位レベルを目指すためには、一日中特定の科目に集中する日を設けることも有効だと思います。
勉強法にはさまざまな情報がありますが、最も大切なのは、自分に合った方法を見つけることです。私の場合、多くの本を読むスタイルが合っていましたが、それは一般的にはタブー視されがちです。しかし、この方法が自分に合っていたからこそ成果を出せたと感じています。周囲のスタンダードなやり方に無理に合わせる必要はなく、自分に適した勉強法を見つけ、時間をかけて継続することが成功への鍵だと思います。
講義以外の時間はリラックスタイムとして過ごしました。
コロナ禍で外出できなかったため、YoutubeやAmazonPrime、実務書を読むなどして時間を過ごしました。
また、実用書だけでなく楽天マガジン(社会情勢、政治、芸能人スキャンダル、ファッションなどジャンル問わず)で様々なジャンルの雑誌を購読しました。
憲法統治に関しては、政治や国会の動きがわかっていると理解しやすいので、雑誌の購読が役立ちました。育児書についても、刑法の事案で乳幼児が出てくることもあり役立ちました。
時間 | 過ごし方 |
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10~15時 |
講義 |
時間 | 過ごし方 |
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10〜11時間 |
自主勉強 |
時間 | 過ごし方 |
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10~15時 |
講義 |
15~23時 |
自主勉強(上三法中心) |
時間 | 過ごし方 |
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10〜11時間 |
自主勉強 |
時間 | 過ごし方 |
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7~8時間 |
自主勉強(下4法、選択科目中心に授業のレジュメやロープラなどの演習書で勉強) |
時間 | 過ごし方 |
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10〜11時間 |
自主勉強 |
時間 | 過ごし方 |
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6時 |
起床 |
8時半まで |
2時間自主学習 |
通学時間 |
1時間自主学習(テキストをPDF化してipadで学習) |
10~16時 |
講義 |
16~0時 |
自主勉強(最大3時まで) |
時間 | 過ごし方 |
---|---|
10〜11時間 |
自主勉強 |
時間 | 過ごし方 |
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6時 |
起床 |
8時半まで |
2時間自主学習 |
通学時間 |
1時間自主学習(テキストをPDF化してipadで学習) |
10~15時 |
講義 |
15~0時 |
自主勉強(最大3時まで) |
時間 | 過ごし方 |
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10〜11時間 |
自主勉強 |
2025年2月20日 BEXA事務局
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