司法試験の勉強を始めた当初、短答式試験は私にとって大きな壁でした。その頃は、短答過去問パーフェクトを前から順番に解き進める方法を試していました。しかし、問題を解いても正解が少なく、自分の中で「これなら分かる」と思えるものがほとんどありませんでした。勉強を続ける中で「あれも間違った、これも間違った」と落ち込むことが増え、自信を失っていったのです。模試の点数も伸び悩み、次第に短答への苦手意識が大きくなっていきました。
さらに、ロースクール1年目には一人暮らしを始めたことで、生活との両立が上手くいかず、試験を受けられないまま留年するという挫折も経験。心身ともに辛い時期で、一度は勉強から遠ざかることになりました。それでも、家族から「無理しなくていいよ」と励まされ、「ここまで来たのだからやるしかない」という気持ちが少しずつ湧いてきたのです。その思いが、私をもう一度勉強に向かわせてくれました。
初日は問題文と選択肢をじっくり「読む」ことを意識しました。ただ解くのではなく、正解・不正解の理由を徹底的に理解するのがポイントです。
条文や判例の背景を確認しながら進めることで、知識の土台を作るようにしました。その際に、〇なのか×なのかの解答も書き込みます。
2日目は、まず初日に読んだ10問を復習します。その際にも、問題を解くわけではなく、書いてある〇×の理由を答えられるかを確認します。
その後、初日と同様の方法で新しい10問を読みました。これにより、前日に学んだ知識を確認しながら、次の問題に進む感覚がつかめました。
3日目は前日までの20問を復習し、さらに新しい10問を追加して合計30問にしました。
この段階で同じ問題に3回取り組んでいるので、知識がしっかり定着してきたのを実感しました。
4日目は、最初に解いた10問を復習から外し、残りの20問を復習しながら新しい10問を読む形にしました。
このサイクルを繰り返すことで、常に新しい知識を追加しつつ、過去の知識を忘れないようにできます。
私は、試験まで時間がなかったため1日10問解いていました。ただ、試験まで時間的余裕がある場合には、もっと少ない問題数でサイクルを回すのが現実的です。
この方式を実践することで、短期間で効率的に知識が定着しました。特に、条文や判例を理解する力がついたおかげで、問題に対する応用力が高まったと感じています。ただ単に「覚える」だけではなく、背景を深く理解することで、似たような問題にも対応できるようになりました。
時間は少しかかる方法ですが、ただ1周するよりも圧倒的に効率が良く、最終的には、3周した時以上の知識の量になると感じています。また、自信を持って試験に臨める力をつけられました。この方法は、短答に苦手意識を持つ方にぜひ試していただきたいと思います!
以上の勉強法を試すうちに、ただ暗記するのではなく知識を深く理解できるようになりました。そして、模試や本試験での点数も飛躍的に向上しました。
短答対策を進めながら、論文の勉強も効率的に行いました。元々、論文対策は早めに取り組み、大学3年時に伊藤塾で受けた論文講座で答案の型を習得していました。さらに周りとの差をつけるため、BEXAの「憲法の流儀」や「旧司法試験論文講座(憲法)」を使用しました。これらの教材は判例の射程や枠組みを分かりやすく整理しており、「どのような判断枠組みを用いるのか」や「どの事実を答案で重視すべきか」を具体的に学ぶことができました。
私の論文対策の特色としては、一番最初に答案例を読んで答案の構造を把握する勉強をしたことです。インプットからアウトプットに切り替えていきなり論文問題を解くことのハードルは非常に高く、挫折してしまいそうになります。しかし、勉強を継続するためには勉強を嫌いにならないことが重要です。そのため、問題を解くのではなく、答案例がなぜそのようになっているのか、どのような構造になっているのかを徹底的に分析しました。この勉強方法により、論文の答案で使える法的三段論法や各科目の答案の型を身に着けたことで、知識さえ入れば答案が書けるようになり、論文対策で苦労しなくなりました。
苦手意識がある科目は逃げずに向き合い、自力で解決が難しい場合は、信頼できる人に相談してください。私は、苦手な短答の勉強法をロースクールの補助講師に相談したことで、効果的な勉強法を身につけることができました。そして、得点が飛躍的に向上したことが合格の鍵だったと感じています。
論文対策では、早い段階で答案の型を身につけることが重要だと思っています。それに加え、BEXAの講座などを活用して、採点者が求める視点や書き方を学ぶこともおすすめです。私は、答案作成にあまり苦労しなかったので答案練習をあまりしなかったのですが、今振り返ると、もっと答案練習に比重を置いた勉強をするべきだったと感じました。
また、どうしても一人では勉強が進まない方は、進捗管理をしてくれる人を見つけることをお勧めします。信頼できる先生や仲間にスケジュールを相談し、サポートを受けながら進めることで、計画的に取り組むことができるはずです。試験対策は短期集中ではなく、長期的にゆとりを持った計画を立てることが大切です。直前期に焦って詰め込むより、時間をかけて基礎を固める勉強法を心がけてください。
最後に、自分に合った方法や教材を見つけることが勉強効率を大きく向上させます。諦めず、自分を信じて進んでください。応援しています!
科目 | 教材 |
---|---|
全科目共通 | 『司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト』 辰已法律研究所 |
科目 | 教材 |
---|---|
憲法 | 『憲法学読本』安西文雄ほか(有斐閣) ロースクールの授業レジュメ(所属ロースクール提供) 『判例百選』長谷部恭男ほか(有斐閣) 『基本憲法Ⅰ』木下智史=伊藤建(日本評論社) 『憲法の流儀』『基本講義憲法』伊藤たける(BEXA) 『憲法ガール』大島義則(法律文化社) |
行政法 | ロースクールの授業レジュメ(所属ロースクール提供) 『行政法解釈の技法』伊藤建ほか(弘文堂) 『行政判例ノート』橋本博之(弘文堂) 『行政法ガール』大島義則(法律文化社) |
民法 | 『伊藤塾論文マスター』伊藤塾 『担保物権』松井宏興(成文堂) 『債権総論』『契約法』中田裕康(岩波書店/有斐閣) 『判例百選』潮見佳男ほか(有斐閣) 『加藤ゼミナール 総まくり講座・論証集・過去問講座』加藤喬 |
会社法 | 『伊藤塾論文マスター』伊藤塾 『会社法』高橋美加ほか(弘文堂) 『判例百選』神作裕之ほか(有斐閣) ロースクールの授業レジュメ(所属ロースクール提供) 補助講師ゼミのレジュメ(過去問演習) 『加藤ゼミナール 総まくり講座・論証集・過去問講座』加藤喬 |
民事訴訟法 | 『伊藤塾論文マスター』伊藤塾 『民事訴訟法』瀬木比呂志(日本評論社) 『判例百選』高田裕成ほか(有斐閣) 『加藤ゼミナール 総まくり講座・論証集・過去問講座』加藤喬 |
刑法 | 『基本刑法読み込み講座・応用刑法解析講座・司法試験過去問対策講座』大塚裕史(LEC) 『応用刑法ⅠⅡ』大塚裕史(日本評論社) |
刑事訴訟法 | 『伊藤塾論文マスター』伊藤塾 ロースクールの授業レジュメ(所属ロースクール提供) 『判例講座刑事訴訟法』川出敏祐(有斐閣) 『伝聞法則に強くなる』後藤昭(日本評論社) 『判例百選』大澤裕ほか(有斐閣) 『加藤ゼミナール 総まくり講座・論証集・過去問講座』加藤喬 |
知的財産法 | 『特許法入門・著作権法入門』島並ほか(有斐閣) 『知的財産法演習ノート』小泉ほか(弘文堂) 『リーガルクエスト』愛知ほか(有斐閣) 『判例百選』小泉ほか(有斐閣) 『一冊だけで知的財産法』辰已法律研究所 『アガルート過去問解析講座』アガルート |
2025年2月12日
役に立った:2