接見指定 合格答案のこつ たまっち先生の「論文試験の合格答案レクチャー」第34回~令和3年 予備試験 刑事訴訟法~

たまっち先生の「論文試験の合格答案レクチャー」  34回  
「接見指定
合格答案のこつ

令和3年 予備試験 刑事訴訟法から

第1 はじめに

 こんにちは、たまっち先生です。
 今回は、接見指定について、令和3年の予備試験の刑事訴訟法を題材として、実際のA答案とC答案の比較検討を通じて合格答案のコツをレクチャーしていきたいと思います。

第2 A答案とC答案の比較検討

【A答案とC答案】

 では早速、A答案とC答案を2つを見比べてみましょう。
 A ポイントC ポイントが分かり易いよう⇩表の記載方法としました(なお、デバイスやモニターの大きさで段がズレて表示される場合がございます。あらかじめご了承ください)。

A答案

A ポイント

第2 設問2
1 ②の措置は接見指定(39条3項)として適法化。
⑴ まず、②は「接見」の「時間」を指摘するものであるところ、接見指定の要件を満たすか。「捜査のため必要があるとき」(同項)の意義が問題となる。
ア そもそも接見指定権は憲法34条の保障する弁護人依頼権に由来する被疑者にとって重要な権利であるため接見指定には慎重な判断を要する。一方で、捜査の必要性についても配慮し、調整する必要がある。そこで、「捜査のため必要があるとき」とは捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られると解する。そして、現に被疑者を取り調べ中であるとか、間近い時に被疑者の身体を利用する捜査を行う予定がある場合などは原則として、顕著な支障が生ずる場合にあたる。
イ 本件についてみると、甲はRに対し強盗傷人事件において重要な証拠となる凶器であるナイフを捨てた場所に案内することを申し向けており、Rはこの証拠を探すため直ちに甲を立会人とした実況見分を行うことを考え、捜査員や車両の手配まで準備している。共犯者と思われる男が見つかっていないことから、ナイフを保全しなければその者によって証拠を隠滅される可能性が高い。そして、直ちに実況見分を行わないため証拠隠滅の可能性は高まる。せっかく得た甲の供述により保全できたはずの重要な証拠を失うことになりかねず捜査に顕著な支障が生ずることから間近い時に捜査を行うことを予定したと考えられる。
ウ よって、捜査に顕著な支障が生ずる場合に該当し、「捜査のため必要があるとき」にあたる。
⑵ 接見指定の要件は満たすとしても、接見の時間は翌日に指定されているため、接見指定の内容が「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限する」(但し書)ものにあたり、違法ではないか。
ア 初回の接見は被疑者が弁護人等の助言を得るための最初の機会であって、憲法34条の保障の出発点をなすものであるから、被疑者の防御の準備のため特に重要である。そこで、接見指定の要件が具備された場合でも、捜査機関は弁護人と協議して、接見を認めても捜査に顕著な支障が生じるのを避けることができるか検討し、これが可能な時は比較的短時間であってもなるべく早く接見を認める義務を負い、かかる義務に違反した場合には但し書違反があると解する。
イ これを本件についてみると、たしかに、Rは接見を翌日の午前9時という遅い時間を指定しており上記義務に違反しているとも思える。  しかし、Rは弁護士Sに対して接見を終えてから出発して現場に到着する頃には暗くなるような実況見分の実施の予定があることを伝えた上で、接見は当日午後8時以降にしてほしいと伝えている。ナイフを甲の案内で探し出す重要な実況見分の時間として3時間は妥当な時間であり、それにもかかわらずかかる早い時間の接見が実現しなかったのはSが実況見分に支障が生ずる時間帯以外には接見の時間が取れず、その後は翌日になってしまうと弁護人Sの個人的な事情によるものである。なおもRは引き続き協議を行い、結果として両者の意見が合わなかったに過ぎないのであるから、上述の義務は果たしているといえる。
ウ よって上記義務に違反せず、但し書違反の違法はない。
2 よって、②の措置は適法である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

接見指定が認められた趣旨が、接見交通権と捜査の必要性との調和にあることを指摘できています。

 

 

 

 

 

平成11年判決の規範を正確に指摘できています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①強盗傷人罪という被疑事実との関係におけるナイフという凶器の重要性、②甲の供述から、甲を立会人として実況見分を行う必要があったこと、③共犯者による証拠隠滅の可能性があったこと、を漏らさず的確に指摘できており、ほぼ完璧なあてはめといえます。
さらに、欲をいえば、日没時間や甲が供述を変遷させる可能性が否定できなかったという点も、実況見分を即時に行うための緊急性を基礎付ける事情として指摘できると思います。
もっとも、試験本番で左記の程度の答案が欠けていれば、A評価が貰えることは確実でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成12年判決を踏まえた規範を定立できています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

判例との事案の違いを意識することができており素晴らしいとしか言いようがありません。
論証を単なる「記憶」としてではなく、「理解」している証拠といえるでしょう。
接見指定の時間のみに着目すると一見違法に思えますが、そのような接見指定となったことについて、S側の落ち度もあったことを踏まえて、捜査機関側の接見指定があながち不合理なものとはいえない点を丁寧に説明できています。

B答案

Cポイント

第2 設問2
1 ②のような接見指定は認められるか。39条3項本文によれば、「捜査のため必要があるとき」に接見指定が認められる。「捜査のために必要があるとき」とは、接見指定が被疑者の身体拘束と捜査の必要性の調整規定であることに照らして、捜査に顕著な支障が出るときに認められると解する。これは、間近い時に取り調べや実況見分がある場合などに認められる。もっとも、本件は初回接見である。これは、被疑者の弁護人選任権という憲法上の保障の出発点をなすものであり、極めて重要である。この場合には、捜査官は、短時分での接見でもよいかを弁護人に確認して、その接見を認めたとしても、捜査に顕著な支障がないかを検討する義務があるといえる。かかる義務に違反した場合には違法であると考える。
2 本件では、実況見分出発直前に接見の申し出があり、5時30分から30分間接見を求めている。実況見分出発直前であることに照らすと、間近い時に接見の予定があるといえるから、捜査に顕著な支障があるときにあたる。しかし、RはSが本日中に接見したいと申し出ているにもかかわらず、両者の意見は折り合わなかった。この場面では、Rは例えば5時半から10分程度の接見でも構わないかなどを Sに確認すべきであったのにこれを怠っているといえる。この場合には甲の防御権を不当に害する(39条3項但し書)ものとして違法である。
3 よって、②の措置は違法である。

 

 

 

 

 

 

接見指定の可否(39条3項)の問題と、接見指定の適否(39条3項ただし書)の問題とを混同してしまっており、まとめて論じてしまっています。
その結果、接見指定の可否の点の当てはめがほとんどできておらず、甲の供述内容やそれに伴う実況見分の必要性・緊急性についての指摘がほぼ皆無です。これでは高い評価が得られないことは明らかでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A答案と比べるとその差は明らかであり、C答案は、判例や論証を単なる「記憶」として押さえてしまっているように読めてしまいます。S側の事情で接見指定が翌日に指定されているという事情は判例の事案にはない本件における特殊事情であり、本件において特に考慮しなければならない事情であるにもかかわらず、当該特殊事情を無視して、接見指定の適否を論じてしまっています。
このことから、C答案は単に接見指定の時間に着目して、その適否を検討しており、A答案に比してあてはめが薄くなっています。

第3 B E X Aの考える合格答案までのステップ「5、基本的な事例問題が書ける」との関連性

 「BEXAの考える合格答案までのステップ」との関連では、「5、基本的な事例問題が書ける」との関係性が強いと思います。

 

 接見指定や初回接見に関する判例を知らないという受験生は予備短答合格レベルの受験生であれば、ほとんどいないと考えられます。もっとも、規範は知っていても、答案に差が生まれるのは、「あてはめ力」に歴然とした差があるからです。本件における接見指定についても初回接見に関する接見指定だから直ちに違法、と安直に考えてしまっている受験生は多いのではないでしょうか。判例は、あくまで一事案に対するものでしかなく、あらゆる事案に妥当するものではありません。したがって、判例の事案が初回接見に対する接見指定を「違法」と述べていたからと言って、本件における接見指定が直ちに「違法」となるわけではありません。その点に十分注意して、判例の事案と本件における事実関係にどのような違いがあるかを踏まえて、適切な結論を導くことが重要です。

第4 本問に関連する論点

【問題文及び設問】

令和3年 予備試験 刑事訴訟法の問題を読みたい方は、⇩⇩をクリック

https://www.moj.go.jp/content/001352748.pdf

1 出題趣旨の分析

 設問を検討する上で、出題趣旨は司法試験委員会の公式見解を得ることができるため、非常に有用です。本問の出題趣旨は、「設問2では、逮捕された被疑者について、間近い時期に被疑者を未発見の凶器の投棄現場に案内させ、その立会の下で同書の実況見分を実施する確実な予定がある中で、弁護人となろうとする者から、被疑者との初回の接見を30分後から30分間行いたい旨の申出があったのに対し、接見の日時を翌日と指定した事例において、接見指定の要件である「捜査のため必要があるとき」(刑事訴訟法第39条第3項本文)の意義や、初回接見についての指定内容と同項ただし書の「指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。」との関係についての理解を踏まえて、当該指定の適否を検討させるものである。その検討においては、最高裁判所の判例(最高裁平成11年3月24日大法廷判決、最高裁平成12年6月13日第三小法廷判決等)を意識して自説を展開する必要がある。」とされています。

 以上の記載からすれば、①接見指定の可否(39条3項)の問題と、②接見指定の適否の問題(39条3項ただし書)の問題を分けて論じることが求められていると考えられます。上記で見たC答案のように、①と②の論点を混同している受験生は多いですが、A答案をとるためには①、②の点を分けて論じることが必要となります。

2 接見指定の可否(刑訴法39条3項本文)

 接見指定の可否とは、そもそも接見指定をすることができるか否かという問題です。つまり、この要件を満たさないとそもそも接見指定をすることができないため、かかる要件を欠く場合に接見指定をしてしまうと直ちに違法ということになります。

 ここで、刑訴法39条3項をみてみましょう。条文上、「検察官、検察事務官又は司法警察職員…は、…捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見…に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。」と規定されています。では、ここにいう「捜査のために必要があるとき」とはどのような場合を言うのでしょうか。
細かい学説の争いはありますが、平成11年判決によりその解釈は固まっているため、受験生的には平成11年の規範を覚えれば十分でしょう。

 平成11年判決は、「捜査のために必要があるとき」の意義について、「取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合」をいうとした上で、弁護人等から接見等の申出を受けた時に、①捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合、②実況見分、検証等に立ち合わせている場合、③間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは、右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、原則として取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると判示しています。
 なお、上記①ないし③に掲げている例はあくまで例示に過ぎないため、答案上は「捜査のために必要があるときとは、取調べ中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合をいう」と規範のみを指摘すれば十分です。

3 接見指定の適否(刑訴法39条3項ただし書)

 接見指定の適否とは、接見指定が可能な場合であっても当該接見指定が妥当なものであったか否かという問題です。接見の要件が満たされていても、必ずしも接見指定ができるというわけではないことになります。その根拠は、刑訴法39条3項ただし書にあります。
 また、平成11年判決も、接見指定要件が認められる場合であっても、「捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならない」としています。したがって、捜査の必要性の要件が認められる場合でも、指定された接見の日時場所が合憲性を欠き、弁護人及び被疑者の防御の権利を不当に制限する場合には、当該接見指定は違法となります。
 この点に関して初回接見に関する重要判例として、最判平成12年6月13日民集54巻5号1635頁(以下、「平成12年判決」といいます。)があります。
接見の中でも、逮捕後の初回接見は、被疑者の防御の準備のために特に重要と考えられています。なぜなら、身体を拘束された被疑者にとって初回接見は、弁護人の選任を目的とし、かつ、今後捜査機関の取り調べを受けるにあたっての助言を受けるための最初の機会であり、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留又は拘禁されないとする憲法上の保障の出発点をなすからです。この点に関して、上記平成12年判決は、39条3項が定める接見指定の要件が具備された場合であっても、直ちに接見指定が認められるわけではなく、捜査機関又はその指定の際には、弁護人となろうとする者と協議し、「即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能かどうか」を検討すべきだとされています。

 初回の取調べに臨む被疑者は不安でいっぱいでしょうから、取り調べに対する対応(ex.黙秘し続ける、自白をしてはならない等)のアドバイスを受けることで少しでも被疑者を安心させると意味でも、紹介接見は非常に重要な手続です。また、初回の取調べで自白を取られてしまえば、後になって当該自白の証拠能力を争うことは非常に難しく、被疑者にとって非常に不利益の大きい証拠として扱われることになると考えられますから、取調べで自白を取られるよりも前に被疑者に対してアドバイスを与える機会としても重要といえます。

 平成12年判決は、続けて、初回接見を認めることが可能な時は、「留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情」がない限り、被疑者の逮捕引致後に直ちに行うべきとされる手続(犯罪事実の要旨の告知等)や、それに引き続く「指紋採取、写真撮影等所用の手続」を終えた後において、「たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべき」だとしました。
以上の平成12年判決があることを踏まえて、本件の具体的事情のもとで、初回接見を翌日に指定したことの適否を論じる必要があります。

4 本問のあてはめ
 【接見指定の可否】        No
「捜査のため必要があるとき」に当たるか→39条3項本文に反して違法
・即時の接見による捜査に顕著な支障が生じる場合
(ex.取り調べ中断や取り調べを行う間近い予定等)
⇩ Yes
【接見指定の適否】               No
「防御の準備をする権利」への「不当」な制限に当たるか→39条3項ただし書に反して違法
・接見の日時場所について弁護人との調整を試みたか
・弁護人との間で接見の日時場所について調整できたのか
・接見指定の内容の合理性
⇩ Yes
適法

⑴ 接見指定の可否
ア 前記の通り、「捜査のため必要があるとき」とは、接見を認めることで捜査に顕著な支障が生じる場合をいいます。

    イ 本件では令和2年10月2日午後4時30分からI署で行われた弁解録取手続の際に、甲が凶器のナイフを投棄した場所を供述しています。なお、甲は「捨てた場所は、地図で説明することはできないが、近くに行けば案内できると思う。」と供述しており、ナイフの投棄場所へ行くためには甲を連れていく必要があったと評価することができます。
そして、凶器は本件事件に関連する証拠物であり、本件被疑事実である強盗傷人罪を立証する上で必要不可欠な重要な証拠となります。また、ナイフはそれほど大きな刃物ではないため、周囲が暗くなってからでは発見することが困難になるものと予想され、日があるうちに回収する必要性がありますから10月は日没時刻が早い季節であり、弁解録取手続が終了した午後5時に直ちに回収に向かわなければ、ナイフの発見が困難になる可能性があると評価できます。
 加えて、甲は上記のようにナイフの投棄場所については自供したものの、「もう1人の男の名前などは言いたくない。」と言っており、共犯者の一人が逮捕されていないことからすれば、本日中にナイフの回収に向かわなければ、かかる共犯者にナイフを回収され証拠を隠滅される可能性も否定できない状況にあったといえます。
 さらにいえば、甲は現時点ではナイフの投棄場所を自供していますが、気が変わってナイフの投棄場所を教えてくれなくなる可能性も否定できず、捜査機関の側に立てば、甲の気が変わらないうちにナイフを回収に行く緊急性が高かったと評価することができるでしょう。

 以上からすれば、弁解録取手続が終了した後、直ちに証拠回収のために甲を引き連れて実況見分を実施する必要性・緊急性があったといえ、かかる捜査を中断して接見を認めることは、証拠品であるナイフの回収を困難にする危険性が現実的に認められたと評価でき、これらを踏まえれば、「捜査のため必要があるとき」に該当するということができるでしょう。

 よって、原則として捜査機関は接見指定をすることが可能です。

⑵ 接見指定の適否
 では、実際に行われた接見指定は適切なものだったと言えるでしょうか。本件は逮捕後の初回接見が問題となっているため、平成12年判決を踏まえ、39条3項ただし書との抵触を慎重に検討する必要があります。
 本件では、Sは、弁解録取手続後の午後5時30分から30分間接見することを求めていますが、これに対して、Rは接見を翌日の午前9時に接見しており、一見すると直ちに防御権侵害を肯定できる事案であるようにも思えます。

 もっとも、Rが翌日の午前9時という時間に接見をしたのは、捜査機関側の事情だけではなく、Sが実況見分に支障が生ずる時間帯以外に接見の時間が取れないという弁護人としてあり得ないようなスケジュールで行動しているという特殊事情が挙げられます。この点からすれば、捜査機関は実況見分さえ行った後であれば、接見指定を行うことが可能であったにもかかわらず、むしろSの個人的事情のせいで翌日にしか接見を指定することができず、やむなく翌日午前9時に接見指定しているという点に注意が必要です。

 なお、実況見分を中断してまで、初回接見を認めるべきだったのではないかという点については、確かにこのように考えることが不合理とまではいえないと思います。ただし、接見終了後の午後6時から実況見分に向かうと、10月の日没時刻を過ぎてしまう可能性が否定できず、上記した通り、本件被疑事件におけるナイフの証拠としての重要性が高いこと、このタイミングで実況見分に行かなければ甲の気が変わったり、または共犯者がナイフを回収したりするなどして未来永劫ナイフの回収が不可能になる可能性すらあったこと等を踏まえると、初回接見が重要性を踏まえても、実況見分を優先したこと自体は違法とはならないと考えられます。

 以上からすれば、本件の接見指定は、防御権を「不当に」侵害したとまでは評価できず、適法ということになるでしょう。

 いつもBEXA記事「たまっち先生の論文試験の合格答案レクチャー」をお読みくださり、誠にありがとうございます。
 第34回は
令和3年 予備試験 刑事訴訟法から「接見指定」合格答案のこつ について解説いたしました。次回以降も、たまっち先生がどのような点に気をつけて答案を書けば合格答案を書くことができるようになるかについて連載してまいります。ご期待ください。

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2023年6月26日   たまっち先生 

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