社会人受験生体験4年にわたった第74期司法修習生が受験生に寄り添い共感し背中をそっと押します。
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こんにちは!ぽんぽんです。
いよいよ本格的に冬の空気を感じる季節が到来しました。
今年は厳冬、さらにインフルエンザも流行との予測が出ていますので体調面にも十分注意したいところですが、受験生の皆さんにとっては「ちょっと気が緩んでいたけど、年末までにどんな勉強をするべき?」「年末年始が見え始めると、急に焦ってきた…」といったことも気になりますよね。
今回は、元多浪生(1回目短答×,2・3回目論文×)の立場から、リベンジ合格した年の「年末年始スケジュール」をどう立てたか?まずは【年内編】について具体的にお話します。
来月公開の後編では「年末年始スケジュール」の立て方【年始編】をテーマとして取り上げる予定ですので、是非ご一読いただき、幸先よく本試験まで駆け抜けて頂ければと思います。
それでは早速、勉強内容から見ていきましょう!
年末年始が近付き、本試験までの残り時間がぐんと縮まっていることに気付いたとき、焦りのあまり、新しい講座や書籍、優秀な合格者が語る勉強方法に手を出してしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
新しい勉強を今の時期から始めることが100%
悪い、ということではもちろんありません。
今の時期から新しい勉強に着手することが来年の合格にとって悪手となるのは、合格に必要不可欠な「基礎」が身に付いていない場合です。
11月に発表された予備試験合格者が、約半年後の司法試験に向けて新たに司法試験対策講座を受講したり、問題集等に着手することに何ら問題はないように、合格に必要なだけの「基礎」が身に付いているのであれば、この時期から新たな勉強を始め、本試験までに応用力を磨いていくことは確実に合格への布石となるはずです。
しかし、合格に必要なだけの「基礎」が十分に身に付いていないところに新たな情報を入れてしまうと、勉強量がキャパシティオーバーとなってしまい、消化不良のまま本試験を迎えるリスクが高くなってしまいます。
この苦い経験を踏まえ、私は11月以降~年内に取り組む勉強を「基礎のインプット+答練でのアウトプット」に絞りました。
年始からは答練の第2クールが始まり、3月には全国模試も控えていることから、年内に基礎知識を一旦詰め込み、年始からは応用的な勉強(論文対策)に専念できる環境にしたかったのです。
具体的には、①手元にあるインプット教材(私の場合は趣旨規範ハンドブック)を全科目「最初から最後まで」読んでいき、「どこを覚えられていないのか」を探し、付箋を貼ったり目次に書き込む作業を約1週間かけて行いました。
この作業はあくまでも暗記が不十分な箇所の確認作業なので、覚えていない箇所を見つけても、この期間は無理に暗記しませんでした。
次に、②覚えていない箇所を条文+判例集、場合によっては基本書も引きながら定義や論点を改めて「理解する」よう努め、気付きがあればインプット教材に書き込んでいき、ひたすら暗記していきました。当然1回では覚えられないので、時間の許す限り何度も何度も確認し、どんどん詰め込んでいったことをよく覚えています。
暗記のコツは何か?
長い浪人期間の間に、自分にとって最大のコツは「とにかく何度も繰り返すこと」と気付いていたので、繰り返す時間を確保するために「もうこの期間はインプットと答練しか勉強しない!」と潔く決めてしまいました。
暗記と答練以外の勉強をしないことに少し不安はあったのですが、やることを絞り込んだ結果、年末までの約1か月という短期間でかなり基礎を固めることができました。
今までロクに暗記ができなかった私にとってこれは大きな成功体験となり、年始への勉強に弾みをつける第一歩となったのです。
司法試験又は予備試験合格に向けて勉強する際、あなたにとって一番ムダな時間はなんでしょうか?
つい見てしまうスマホ、友達との長すぎるおしゃべり、ぼーっとしている電車時間…
日常生活の中にも様々な「ムダ時間」はひそんでいると思いますが、
勉強面でのムダ時間ナンバーワンは「何を勉強するか迷って悩んでいる時間」だと私は思います。
思い返せば、司法試験に3回連続不合格だった年は毎日「何を勉強するか」に困っていました。
やる気はあるのに「何をどうしたら良いのか」本当にわからず、勉強内容を決めるだけで数時間使ってしまうこともあり、自己嫌悪に陥ることも日常茶飯事だったのです。
潮目が変わったのは「ひとつひとつの勉強に目的を設定し、意味付けすることを徹底する」ようになってからでした。
目的を設定するためには自分の弱点や不足部分を把握する必要があるので、自然と答練や問題集、過去問等のアウトプットの勉強を取り入れるようになり、このアウトプットの過程で知った弱点や不足を補うため、「最も効率の良い勉強は何か?」常に考える…
この一連の流れを習慣付けることで、自然と勉強の流れを構築することができるようになりました。
では、「弱点を克服できる勉強」を設定するコツは何か?
私が意識していたことは次の2点です。
1点目は①手を広げすぎずどんどん絞り込んで、反復する勉強を取り入れることです。
私は社会人受験生で勉強時間がかなり限られていたこともあり、応用や発展的な知識には手を広げず、同じ教材で基礎を反復学習することで確実な知識を1つでも多く増やすことを目指していました。
もっとも、「何回も繰り返すこと(反復学習)」それ自体を目的にしては本末転倒です。
①が勉強の王道でありながら、不合格者のほとんどが正しい方法で取り組めていない原因はここにある、と私は考えています。
あくまでも合格が目標なので、「確実な知識=趣旨レベルから理解できている状態」に出来たのであれば2回程度の反復でも良いのです。
反復学習は「司法試験合格」という最終目標の手段にすぎず、量がモノを言うのではないことを忘れないようにしていただければと思います。
2点目は②自分がイヤだ、しんどいと思う勉強をあえて取り入れることです。
私は大雑把で面倒くさがりな面があり、逐一条文や判例を引いたり、趣旨を調べて理解したり、暗記に取り組むことがとても苦手でした(こうして並べて書くと、受かる気あるんか!とツッコミたくなるほどですが…)。
この苦手を認め、少しずつでも自分が「イヤだ、しんどい」と思い避けてきていた勉強に真正面から取り組むことで、空いてしまった穴をダイレクトに埋める弱点克服につながったのです。
なお、司法修習中の今もこの「大雑把で面倒くさがり」という悪癖は日々出現してくるので、日々丁寧に起案することや、自分の主張を客観的証拠により確実に裏付けることを人一倍心掛けるています。
司法試験は5日間の長丁場をひとりで乗り切る必要がある試験ですから、「己を知っている」ことは効率的な勉強をする上で強い武器になることは間違いありません。
この機会に、是非自分のイヤな勉強を精査していただければと思います。
元も子もないような言い方かもしれませんが、司法試験に合格した今振り返って思うことは「勉強の大まかな方針に年末年始などの時期は関係ない」ということです。
もちろん、年始からは答練の第2クールや全国模試等が実施されるため、本試験に向けて勉強のピッチが上がることは間違いありません。
しかし、「合格に向けて自分の弱点を克服する勉強をする」という点に何ら変わりはないのです。
合格に向けて自信を付けるためにはどうすればよいか?
答えは「自分の弱点を克服する勉強をする」ことです。
弱点を克服する勉強とは何か?
答えは「アウトプットの過程で見つけた弱点を、自分のイヤな勉強を反復することでつぶす」ことです。
シンプルだけれども確実に合格に繋がる勉強ができますように。
読者の皆様が充実した年末をすごされることを心より祈っています。
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私のことは「先生」ではなく「ぽんぽん」と気軽に呼んで頂けると嬉しいです。
大阪市立大学法学部を卒業後、東京大学法科大学院未修コースに進学・卒業し、
その後は実家に戻り社会人受験生を約4年にわたり続けた末にようやく合格、
現在、第74期司法修習生として奈良で司法修習中の元社会人司法試験受験生です。
普段はTwitter(@ponponazarashi)及びnote(『司法試験cafe room』)にて 未修×多浪×社会人受験生の失敗談・後悔に基づく勉強方法を発信しつつ、 弁護士求人ナビにて法律事務所就活ライターをしています。
なお、メンタルケアについての資格を取得しているわけではないので、専門的な知見を申し上げることはありません。
2021年11月27日 ぽんぽん
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