試験直前期に大切なのは、新しい知識を増やすことではありません。これまで積み上げてきた知識や対策を、本番で確実に出し切れる状態に整えることです。
本番では、分からない問題が出ることもあります。思いどおりにいかない科目が出ることもあります。だからこそ、直前期には学習面だけでなく、当日の動き方、持ち物、メンタルの切り替え方まで準備しておく必要があります。
ここでは、試験直前期にやるべき対策、当日の問題への向き合い方、ロジスティックス面の注意点、そして予備試験短答後の切り替え方を整理します。
直前期は、一元化教材の総復習に充てる時期です。試験まで残りわずかになった段階で、新しい教材や未知の論点に手を広げても、十分に定着しないまま本番を迎えてしまう可能性があります。
ここから優先すべきなのは、これまで学んできたことを本番で使える状態に仕上げることです。論証を正確に書けるか、記憶が曖昧になっていないか、自分が何度も間違えるポイントはどこか。こうした点を、最後に総チェックしていきます。
直前期に優先すべきなのは、「全く知らない知識」を追うことではなく、「なんとなく知っているけれど説明できない知識」を潰すことです。
特に注意したいのは、「見たことはあるけれど、実はよく分かっていない」知識です。あやふやな知識は、その論点が出たときに迷うだけでなく、別の分野と誤解してしまう原因にもなります。
直前期には、自分専用のチェックリストを作っておくことが有効です。
これは一般的な論点表ではありません。自分がミスしやすいポイント、間違えやすいポイント、答案で毎回落としがちなポイントをまとめたものです。
チェックリストに入れる項目の例
こうしたミスは、本番で急に直るものではありません。だからこそ、科目ごとに「これだけは忘れない」という項目をまとめ、試験直前に確認できる状態にしておきましょう。一元化教材の最初のページに貼る、科目ごとに1枚にまとめるなど、本番前にすぐ見返せる形にしておくことが大切です。
CBT形式で受験する場合は、画面操作の確認も直前期に済ませておく必要があります。
画面上で何を表示するのか、六法は紙で見るのか画面上で見るのか、下書き用紙をどのように使うのか。科目によって多少違いがあっても構いませんが、基本的な使い方は事前に決めておいた方がよいでしょう。
操作方法が本番で気になると、それだけで集中力を使ってしまいます。学習内容だけでなく、試験を受ける環境そのものにも慣れておくことが、直前期の大切な準備です。
短答では、ケアレスミスを防ぐ工夫も再確認しておきましょう。
「正しいものを選べ」と聞かれているのか、「誤っているものを選べ」と聞かれているのか。この読み違いだけで、取れるはずの点を落としてしまうことがあります。
問題文に丸やバツを付ける、選択肢の処理方法を決めておく、飛ばした問題を目立つ形で管理する。こうした自分なりのルールを、本番前にもう一度確認しておきましょう。
論文を受ける場合は、答案を書く感覚を落とさないことも大切です。毎日1通、少なくとも2日に1回、あるいは設問の一部だけでも構いません。直前期にインプットへ偏りすぎず、答案として出力する感覚を維持しておきましょう。
本番では、分からない問題が必ず出ます。そのときに大切なのは、そこで止まらないことです。
難しい問題が出たときは、慌てずに深呼吸をして、できる問題から解いていきましょう。最初の問題が難しいこともあります。そこで動揺してしまうと、解けるはずの問題まで崩れてしまいます。
分からない問題に出会ったとき、「自分だけが分かっていないのではないか」と考えないことも重要です。難しい問題は、他の受験生にとっても難しい可能性があります。相対評価の試験では、焦らず、条文や問題文に食らいつき、書けることを積み上げる姿勢が大切です。
CBT短答では、紙で読む場合よりも時間がかかる可能性があります。特に、刑法の穴埋め問題のように処理に時間がかかる問題が多い場合は、時間が足りなくなるリスクがあります。
そのため、時間がかかりそうな問題は後回しにし、まず知識で解ける問題を処理する。その後、落ち着いて難しい問題に戻る。この流れを事前に決めておくと、本番でも慌てにくくなります。
ただし、飛ばした問題は必ず分かるように管理しましょう。焦っていると、飛ばした問題の存在を忘れてしまうことがあります。CBTであっても紙の試験であっても、飛ばした問題の管理方法は事前に決めておく必要があります。
答案用紙の取り違えやマークミスにも注意が必要です。紙の試験に比べるとリスクが減る場面もありますが、選択科目などでは取り違えの可能性があります。
短答では、マークミスや選択ミスが起こり得ます。正しいものを選ぶのか、誤っているものを選ぶのか。問題文の指示を確認し、自分なりの印の付け方や見直し方法を決めておきましょう。
論文式試験では、問題文の指示をよく読むことが非常に重要です。設問文は最大のヒントです。
「この点について論じなくてよい」と書かれているのに、その点を長く論じてしまうと、点数につながりにくい答案になります。何を論じるべきか、何を論じなくてよいかを、問題文から正確に読み取る必要があります。
ここでも、直前期に作ったチェックリストが役立ちます。会話文や設問の指示を読み落としやすい人は、「論じなくてよい事項を確認する」とリストに入れておきましょう。本番で問題文を読む前に確認するだけでも、同じミスを防ぎやすくなります。
司法試験では、試験開始時間とは別に受付時間があります。1日目の受付終了時刻は9:00です。間に合わないと受験できないため、受付時間には絶対に遅れないようにしましょう。
ここは、学習内容以前の問題です。せっかく準備してきたにもかかわらず、受付時間に遅れて受験できないという事態は絶対に避けなければなりません。当日は30分前には着くように行動し、余裕を持って会場へ向かいましょう。
受験案内等は必ず熟読し、不明点があれば事前に問い合わせておきましょう。
持ち物として、受験票は印刷し、身分証も忘れずに準備しておきましょう。受験票を忘れた場合に備える意味でも、本人確認に使える身分証は重要です。
飲み物は、1000ml以下の水を準備しましょう。お茶や清涼飲料水はNGという点にも注意が必要です。
また、試験時期は暑さ対策も必要です。会場内は空調が効いているとしても、会場までの移動で体力を消耗する可能性があります。帽子やタオルなど、移動中の暑さ対策も考えておきましょう。
試験会場に教材を大量に持っていく必要はありません。
基本書や教材を何冊も持ち歩くと、それだけで体力を奪われます。暑い時期であれば、会場に着く前に疲れてしまうこともあります。
会場に持っていく教材は、一元化教材や、これまで使ってきた教材に絞りましょう。直前に見る教材は、新しい知識を入れるためではなく、精神的に落ち着くためのお守りとして考えるくらいで十分です。
ホテルに前泊する場合は、安心材料として教材を多めに持っていくこともあります。ただし、会場に持ち込むものは絞るべきです。本番直前に確認できる量には限りがあります。
当日は、電車やタクシー代に対応できるよう、現金も準備しておきましょう。
スマートフォンに交通系ICを入れている場合でも、スマートフォンが使えなくなる可能性はゼロではありません。万が一に備えて、現金も準備しておきましょう。
また、当日の緊急連絡先は、スマートフォンにあらかじめ登録しておきましょう。スマートフォンが使えなくなる可能性も考え、念のため、紙にも控えておきましょう。
交通経路の事前確認も欠かせません。
受験票には、「札幌駅南口会場」のように表記されるだけで、具体的な施設名や住所がすぐには分からない場合があります。そのため、事前に施設名と住所を確認し、地図アプリに登録しておきましょう。念のため、紙の手帳などにもメモしておきましょう。
CBTの会場は、会場によっては小さいビルの一室などになることもあります。普段の試験会場のように、駅の案内だけで迷わず到着できるとは限りません。駅の出口や、乗る電車の車両、交通系ICへのチャージも事前に確認しておきましょう。
ロジスティックス面の最後に大切なのが、終わった科目を忘れることです。
試験会場や帰り道では、終わった科目について話している人がいるかもしれません。しかし、答え合わせをしても、終わった科目の答案は変えられません。むしろ、他人の話を聞いて不安になり、次の科目に悪影響が出る方が危険です。
SNSを見ることも、友人と答え合わせをすることも避けましょう。どうしても気持ちを吐き出したい場合は、法律の内容に踏み込まない相手に話すのが安全です。
目的は、正解を確認することではありません。メンタルを回復し、次の科目に切り替えることです。
1科目うまくいかなかったとしても、試験全体が終わるわけではありません。終わったものは忘れて、次に集中しましょう。
予備試験の受験生は、短答式試験が終わった後の行動が重要です。
短答後は、合格しているかどうかが気になり、なかなか論文の勉強に切り替えられないことがあります。特にボーダー付近だと、不安な気持ちが強くなりやすいでしょう。
しかし、合格可能性があるなら、論文試験の勉強を止めるべきではありません。短答後は、できるだけ早く論文の勉強に切り替えることが大切です。
短答後に迷わないためには、事前にやることを決めておくことが有効です。
短答式試験が終わった後の1週間、2週間で何をやるのか。実務基礎や選択科目をどのように仕上げるのか。あらかじめ決めておけば、短答後に迷う時間を減らせます。
短答後は、気持ちを切り替えるだけでも大変です。だからこそ、試験前の段階で「終わったらこれをやる」と決めておくことが重要です。
論文模試の申し込みも早めにしておきましょう。
論文試験に向けては、1回は模試を受けておいた方がよいでしょう。特に環境が変わる場合には、本番前に一度経験しておくことが大切です。
短答後に慌てて探すのではなく、あらかじめ申し込みを済ませておくことで、論文対策に入りやすくなります。
試験直前期は、特別なことをする時期ではありません。新しいことを増やすよりも、これまで積み上げてきた知識や対策を、本番で確実に出し切れる状態に整えることが重要です。
直前期は、一元化教材の総復習に集中し、自分がミスしやすいポイントをチェックリスト化しておきましょう。CBTの操作方法やケアレスミス対策も、試験前に確認しておく必要があります。
本番では、分からない問題が出ても慌てず、できる問題から解くことが大切です。論文式試験では、問題文の指示を丁寧に読み、何を論じるべきか、何を論じなくてよいかを正確に確認しましょう。
直前期に確認しておきたいポイント
ロジスティックス面では、受付時間に遅れないことが特に重要です。受験票や身分証、飲み物、現金、交通経路なども、当日になって慌てないよう事前に確認しておきましょう。
また、終わった科目を振り返らないことも、本番を乗り切るために大切です。答え合わせやSNSで不安を増やすのではなく、次の科目に切り替えることを優先しましょう。
直前期に必要なのは、焦って新しいことを増やすことではありません。メンタル面も ロジスティックス面も事前準備できるものは準備して、万全の体制で試験日をむかえられるよう整えていきましょう!
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