2026年から司法試験・予備試験ではCBT(Computer Based Testing)が本格導入されます。これまでの紙の試験からパソコンを使った試験へと変わることで、不安を感じている受験生も多いのではないでしょうか。
「パソコン試験になると何が変わるのか」「勉強方法を変える必要があるのか」。こうした疑問に対して、実際にCBT形式を体験した視点から、従来型試験との違いと具体的な対応の考え方を整理します。
CBTになると、「パソコンの技能が必要になるのではないか」と不安に感じる人もいるかもしれません。しかし司法試験はあくまで法律の試験であり、パソコンの操作能力を測る試験ではありません。
一般的なタイピングができれば基本的には問題ありません。むしろ重要なのは、試験で使われるソフトの画面に慣れておくことです。法務省が公開している試験ソフトを事前に触っておくだけでも、本番での戸惑いはかなり減ります。
また今回のCBT化は、旧司法試験から新司法試験に移行したときのように試験の中身が大きく変わるものではありません。あくまで試験の実施方法が変わるだけです。出題内容自体は従来どおり事例問題中心であり、法律の理解と答案作成力が問われるという点は変わりません。
実際にCBTを体験してみると、論文試験と短答試験では印象がかなり違います。
論文試験については、CBTの方がやりやすいと感じる部分があります。PC入力で答案を書くことになるため、文章の追加や削除、修正が簡単にできるからです。紙の試験では一度書いた答案を修正するのは大きな負担になりますが、PCであれば比較的自由に調整できます。
一方で短答試験では、従来の紙試験の方が解きやすいと感じる場面もあります。問題文に書き込みをしたり、複数の選択肢を見比べながら整理したりする作業は、やはり紙の方がやりやすい部分があります。
そのため、CBTはすべてが良くなるというわけではなく、論文と短答でそれぞれ特徴があると考えるのが現実的です。
CBTの大きなメリットは、答案の修正が非常にしやすいことです。
紙の試験では、書いた答案を途中で修正するのは簡単ではありません。構成を変更する場合でも、書き直しや追記によって答案が読みにくくなることがあります。
しかしPC入力であれば、
・文章の追加や削除が簡単
・修正がしやすい
・書きながら答案を整理できる
といった利点があります。
そのため、紙の試験のように最初から答案構成を細かく作り込まなくても、書き進めながら構成を整えることができるという面もあります。
また画面の使いづらさを心配する声もありますが、実際には六法は紙で配布されます。そのため画面には主に問題文と答案を書く画面が表示される形になります。想像していたほど画面が使いづらいという印象はありませんでした。
さらに、手書きの試験と比べると手の疲れは軽く感じるという点もあります。長時間の論文試験では手の疲れが大きな負担になることがありますが、キーボード入力であればその負担は比較的軽くなります。
CBTには注意すべき点もあります。まず感じるのは、思っていたよりも疲れるということです。画面を長時間見続けるため目の疲れが出やすく、また試験会場のキーボードが自分の環境と違う場合には手の疲れを感じることもあります。紙試験とは違う種類の疲労が出る可能性があります。
もう一つの弱点は、問題要旨への書き込みがしづらいことです。
紙の試験では問題文に直接メモを書き込みながら思考整理をすることができますが、CBTでは画面と紙を行き来する形になるため、情報整理のテンポが少し落ちます。
一般的にも、情報の把握は紙の方がしやすいと言われています。特に短答試験では問題文の整理に時間がかかる可能性があるため、この点は従来型試験と比べたときの弱点と言えるでしょう。
論文試験では、画面の使い方が重要になります。
基本は、中心に表示するウィンドウを2つまでにすることです。3つ以上のウィンドウを同時に表示すると、それぞれの画面が小さくなり、操作がしづらくなります。
画面には
・問題文
・答案用紙
この2つを中心に表示する形が使いやすいです。
また、答案構成用紙のウィンドウは基本的に使わない方がよいと感じました。紙試験の感覚で答案構成を作ろうとすると、かえって画面操作が増えてしまいます。
六法は紙で利用することになるため、画面上の六法ウィンドウはなるべく小さくしておく方が操作しやすくなります。
短答試験では、情報整理に時間がかかる可能性を前提に解く必要があります。
そのため、時間がかかりそうな問題は思い切って飛ばす判断も重要になります。
例えば
・事例問題
・刑法のパズル問題
などは後回しにして、知識問題を先に解くという進め方が有効です。
また、問題用紙には最低限の書き込みをしておくことも重要です。「誤りを選べ」という問題であれば、問題文に「×」を書き込むなど、簡単なメモを残しておくことでケアレスミスを防ぎやすくなります。
CBTが導入されても、司法試験の本質は変わりません。一般的なタイピングができれば基本的には対応できます。
論文試験ではPC入力のメリットを活かして画面を広く使うこと、短答試験では時間管理とケアレスミス対策を意識すること。この2つがCBT対策として重要になります。
2026年4月17日 荒井たかふみ
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