「ちょっと盛ったつもりが違反に？中小企業こそ気をつけたい法律の落とし穴」

「魅力的に見せたかっただけ」や「同業他社もやっているし、うちも大丈夫だろう」

そんな軽い気持ちで行った広告表現やキャンペーンが、思わぬ法令違反にあたることがあります。今回は、販促や広告展開の際に中小企業がとくに気をつけたい、「うっかりやりがちな法律違反」について、代表的な法令とあわせて紹介します。

■ 景表法：よかれと思った“アピール”が命取りに

まず注意したいのが、消費者向けの商品・サービスの広告で適用される景表法（正式名：不当景品類及び不当表示防止法）です。

たとえば、

実際以上に効果があるように見せる表示（優良誤認表示）

通常より安く見せるための価格比較（有利誤認表示）

「他社より高品質」といった比較広告（根拠がないとNG）

といった表現が違反の典型です。
また、キャンペーンでの景品提供にも金額の上限があり、「高額プレゼントキャンペーン」も過大景品として規制される可能性があります。

■ 特定商取引法：通販やSNS販売も対象に

ECや電話勧誘、訪問販売などにおいては、特定商取引法が適用されます。商品の返品・キャンセル条件を明示していなかったり、誤解を招くような「お試し価格」表示をしていたりすると、行政処分の対象になり得ます。

たとえば、

「初回無料」と書きながら、実は2回以上購入が前提だった

解約ページが極端にわかりにくい

といった手口は、違反事例としてよく見られます。

■ 著作権法・商標法：画像やロゴの“引用”にも注意

広告画像やブログ記事でよく見られるのが、著作権や商標の無断使用。たとえ「出典を記載している」「営利目的じゃない」としても、著作権者の許諾なく使用することは基本的にNGです。

中には、SNS上で拾った画像やイラストを「引用のつもり」で使ってしまい、後から警告や損害賠償請求を受けるケースも。

■ 労働関連法令：採用活動・求人広告も要チェック

意外に見落とされがちなのが、求人広告における虚偽表示や不適切な条件提示です。「残業なし」「完全週休2日」と記載していたのに、実際は違った……となると、職業安定法違反や景表法違反に問われる可能性もあります。

ハローワークや求人サイトで募集する場合も、表示内容の精査が必要です。

■ 「知らなかった」では済まされない

法律違反が発覚すると、行政からの指導・処分だけでなく、SNSや口コミサイトでの reputational damage（評判リスク）が深刻な事態を招くこともあります。

一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではありません。

■ 中小企業が今すぐできる法務リスク対策

表示内容やキャンペーン企画は「根拠資料」と一緒に管理する

社内チェックフローに第三者の視点（外部専門家や顧問弁護士）を取り入れる

最新の法令やガイドラインを定期的にインプットする（公取委・消費者庁のサイトなどを活用）