合格者のいう「答案構成だけやりました」の真の意味

合格者と不合格者の違い~あなたはなぜ不合格なのか

合格者のいう「答案構成をだけやりました」の真の意味知っていますか?

合格体験記は読んだ。
合格者の話もきいた。
それをキチンと実践した。
なのに不合格だった。
その原因はどこにあるのでしょうか?

それは合格者の使っている言葉の真の意味を、あなたが別の意味で理解していたからかもしれません。

そこで、この連載では、合格者と不合格者の違いに焦点をあてて、合格者になるための「真の意味の勉強法」を明らかにしていきます。

合格者であっても必ず毎日答案を書いているわけではありません。しかし、演習を念頭に置いた学習をしている合格者は多いです。
そんな合格者の合格体験記を読むと答案を書かない日は「頭の中で答案構成をしていました」とコメントしているケースがよく見られます。

そこで今回は、"頭の中で答案構成をすること"にフォーカスしていきます。

不合格者のいう「頭の中で答案構成をしていました」の意味

不合格者の答案構成は
・問題文を読む
・論点を思い浮かべる
・論証・規範を思い出す
・なんとなく事実をあてはめる
これらが羅列されているイメージではないでしょうか。

短期合格者のいう「頭の中だけで答案構成をしていました」の意味

では、短期合格者は具体的に何をイメージして答案構成をしていたのか、その手順を聞いてみました。

◆剛力大先生

大前提として誤解されないでほしいのが、私の考える答案構成はそのまま答案に直結するイメージしています。
答案構成したのに答案で「どう書く」って悩むなら、それは私の考える答案構成ではないですね。

それを踏まえて申し上げれば、問題文の事実から条文・要件→問題の所在→規範があるなら規範→あてはめは配点が大きいと思われる事実だけ評価まで頭の中で答案化していました。

私はこの手順を、答案を作るイメージで行っていました。単にナンバリングや項目の箇条書きのように組み合わせるのではなく、そのまま答案に反映できるレベルで頭の中で構成していました。

◆大瀧瑞樹先生

私は大体週に2、3通だけ答案をちゃんと書いていましたが、それ以外は演習書の問題を読んで頭の中で答案構成することを繰り返しているだけでした。
ただ、便宜上答案「構成」と呼んでいるだけで、実際は頭の中で答案を作るイメージでやっていました。

答案構成では短文事例問題を用いていましたが、たとえば、問題文の事実→何の条文の問題か→論点がどの条文のどの文言にひっかかるか→なんでその論点が出てくるのか→論証のキーワードやそうなる理由を頭の中で唱える→規範を浮かべる→問題文の事実で要件や規範のあてはめといったイメージでやっていました。

ポイントは、このレベルにもっていくために、先に問題演習で答案の型やフレームワークといったものを自分なりに作っておく必要があります。
型やフレームワークのレパートリーを増やしておき、あとはそれを忘れないため、思い出すスピードを上げるために復習として短文事例問題ばかり繰り返し構成していました。

決定的な違いは解像度の高さ

両者を比較すると一見して同じことをやっているような印象を受ける方もいらっしゃることでしょう。
しかし、両者には決定的な違いがあるのです。

それは、解像度の違いです。

違い① 答案構成の意味が違う~答案を書けと言われてすぐ書けますか?

剛力先生の「答案構成=答案に直結しなければ意味がない」という点と、大瀧先生の「答案"構成"と便宜上呼んでいるだけで、実際は頭の中で答案を作るイメージです」という点に注目してください。

短期合格者にとって、答案構成とは答案を頭の中で作ることを指しています。
答案"構成"というと、よく問題文から何条の問題だ・要件はこれ・規範はこれ・論点はこれ・あてはめはこれ、と頭の中でパーツを思い浮かべて並べるものと思われがちですが、それは短期合格者にとっては答案構成ではないのです。

すでに答案の型・答案のフレームワークが明確に頭の中に存在していて、パーツを並べるだけでなく1つの答案として組み立てているのです。

筆力という意味ではなく、常に頭の中で答案を作りあげているから、書くスピードや文章力が早いのです。

違い② 答案の型のレパートリーが豊富~答案のパターン数種類用意していますか?

論文試験は科目ごとだけではなく、問題ごとにも問われ方が様々あります。
そんな試験において答案のパターンが1種類しかないことは、返って書きづらくしてしまう要因です。

大瀧先生の「型やフレームワークのレパートリーを増やす」という点に注目してください。
合格者は複数の答案の型のレパートリーを用意しています。「こういう出題形式であればこういう書き方」「そういった問われ方であればこの型で書いた方が書きやすい」という感じで引き出しをいくつも用意しているのです。その中で三段論法を訓練しています。

たとえば、民法であれば、請求を立てた後に要件を列挙するパターンなのか、先に問題の所在を2~3行書いたあとに問題点を提起するパターンなのか、刑法であれば、重要でない構成要件を見出しだけ付けて簡単に当てはめるパターンなのか、それとも2~3行で事実を列挙して構成要件をカバーしてしまうパターンなのか、など自分なりの型・フレームワークのレパートリーを用意しているのです。

レパートリーをあらかじめ用意しておけば、出題形式や問われ方で書き方で悩む必要はなくなります。

違い③ メリハリが効いている~Aランク論点にすぐ食いついていませんか?

試験対策の知識をインプットしていると「この論点はAランク」でしたり「この要件は特に重要」と学習されることがありませんか?
もちろん、そういった重要知識は是非学習するべきです。

しかし、論文試験においてはAランクの論点や要件に必ずしも大きく配点が振られているわけではありません。むしろBランクや当然のように充足されると考えらえている要件が充足されていなかったりします。
Bランクが必ず問われる!というわけでなく、そういう落とし穴に陥らないよう常に注意しなければなりません。

剛力先生の「あてはめは配点が大きいと思われる事実だけ評価まで頭の中で答案化していました」という点に注目してください。
合格者は、要件や論点に関する視点だけでなく、事実面から配点を意識した学習をしています。なんとなくではなく、問題文に現れているすべての事実を見比べて要件に当てはめているのです。

この視点を常に意識して答案構成をするだけで、真に問われていることに気付けるだけでなく、答案でどこを厚く書くべきなのかが瞬時に判断できるようになるのです。

解像度を上げるために処理手順を確立させよう!

①答案の型やフレームワークが明確であること
②型・フレームワークのレパートリーを複数用意すること
③問題文の事実からメリハリを意識すること

以上の3つの違いを意識して訓練し、答案の解像度を上げるためには、答案構成以前に自身の答案の処理手順を確立することが超重要になります。

①②が処理手順そのものであり、処理手順を確立できたら事実面の処理手順である③を鍛えるというイメージです。

処理手順を確立させる方法

今回ご紹介する方法は2通りです。

1つは、基礎的で答案例の付いている問題を短期で数多くこなすことです。

吉野勲先生『司法試験道場』なら…

答案の型やフレームワークを確立できてない人はインプットからアウトプットまでの差分がしっかりと埋められていない人である可能性があります。
理想を高く持つことは良いことですが、司法試験本試験はまず基礎的な問題の答案の型ができていないと、そこから応用的な答案の型を作り出すことは難しいです。

基礎的な問題を多く取り扱う司法試験道場の短文事例問題講座であれば、基本7科目すべてに基礎問題が283問、答案例付きで付いてきます。
まず、この基礎問題283問を繰り返し解き、答案例の型をマスターすることで、処理手順を確立させることで、あなたの答案の解像度をグンとあげることが可能です。

さらに、司法試験道場はインプット講座も附属するので、短文事例問題講座で扱ったテーマをインプット講座で復習すれば、アウトプット先行であなたの知識を確認しつつ、効率的に学習が可能になります。

 

もう1つは、あらかじめ処理手順が用意されている問題を繰り返し解くことです。

中村充先生『4S基礎講座』なら…

4S基礎講座は、あらゆる法的問題に対応するための処理手順を、中村充先生が独自に編み出した4Sフィルターと解法パターンで繰り返し訓練することができる講座です。本来処理手順は人それぞれであるため、メソッド化しづらいものですが、中村充先生は旧司法試験・予備試験・そして新司法試験を共通して分析し、科目ごとに共通する処理手順を編み出しました。
4S基礎講座なら、処理手順を確立させることができ、あなたの解像度を明確にさせることが可能です。

2021年9月18日   大瀧瑞樹  剛力大  中村充  吉野勲 

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