甲は、友人乙、丙に対して、Aが旅行に出かけて不在なので、A方に侵入し、金品を盗んでくるように唆した。乙、丙はA方に侵入したところ、予期に反しAが在宅しているのに気付き、台所にあった包丁でAを脅かして現金を奪い取ろうと相談し、Aに包丁を突き付けた。ところが、Aが激しく抵抗するので、乙は、現金を奪うためにAを殺害しようと考え、その旨丙にもちかけた。丙は、少なくとも家人を殺したくないとは思っていたことから、意外な展開に驚き、「殺すのはやめろ。」といいながら乙の腕を引っ張ったが、乙は、丙の制止を振り切って包丁でAの腹部を刺し、現金を奪いその場から逃走した。丙は、Aの命だけは助けようと考え、乙の逃走後、直ちに電話で救急車を呼んだが、Aを介抱することなくその場に放置してA方を立ち去った。結局Aは、救急隊員の到着が早く、一命を取り留めた。
甲、乙及び丙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く)。