Aが死亡し、その相続人であるYは、限定承認した。その後、被相続人Aの債権者Xは、Aに対して有していた金銭債権1,000万円の支払を求める訴えをYを相手方として提起した。
1 この訴訟において、Yが限定承認の事実を主張したところ、これが認められ、相続財産の範囲で1,000万円を支払えとの判決がされて確定した。その後、Xが、「Yは、相続直後に相続財産を隠匿しており、限定承認は無効事由がある。」と主張して、確定判決の効力を争うことができるか。
2 この訴訟において、Yは、限定承認の事実を主張しなかったところ、1,000万円を支払えとの判決(相続財産の範囲で支払えとの限定は付されていない。)がされて確定した。Xは、この確定判決に基づき、Yの固有財産に対して強制執行をし債権全額の満足を得た。その後、Yは、Xに対して、不法行為による損害賠償を求める訴えを提起し、「Xが、限定承認の事実を知りながら、1,000万円の給付判決を得て強制執行をしたのは違法である。」と主張した。確定判決の効力との関係で、Yの主張の当否を論ぜよ。