債権の効力 -
債権不履行に基づく損害賠償
契約総則 -
同時履行の抗弁権・危険負担
Xは、Yに国際見本市の会場の一つとなる乙建物の建築を注文した。Zは、見本市の期間中、乙建物を出店用に使用するため、Xと賃貸借契約を締結した。この契約には、乙建物を使用させられないときはXがZに、1000万円を支払う旨の損害賠償額の予定条項が含まれていた。ところが、乙建物は、完成後引渡前に地震により全壊して使用不能となり、見本市の期間中には再築も間に合わなくなった。Xは、Zに予定通り乙建物を使用させていれば、2000万円の収益を得られるはずであった。
右の事例において、(一)地震の震度が極めて大きく、Yが耐震基準に適合した設計・施工をしていたにもかかわらず、乙建物が全壊した場合と、(二)地震の震度は、標準的な建物であれば十分耐え得る程度のもので、Yの施工上の手抜き工事が原因で乙建物が全壊した場合とに分けて、XY間及びXZ間の法律関係について論ぜよ(なお、XY間の請負契約には民法の規定と異なる特約はなかったものとする。)。