平成10年度旧司法試験民法第1問

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賃貸借 - 民法上の原則

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 Aは、Bに対し、自己所有の甲建物を賃料月額10万円で賃貸した。Bは、Aの承諾を得た上で、甲建物につき、大規模な増改築を施して賃料月額30万円でCに転貸した。その数年後、Bが失踪して賃料の支払を怠ったため、AB間の賃貸借契約は解除された。そこで、Aは、Cに対し、「甲建物を明け渡せ。Bの失踪の日からCの明渡しの日まで一ヶ月につき30万円の割合で計算した金額を支払え。」と請求した。(なお、増改築後の甲建物の客観的に相当な賃料は月額30万円であり、Cは、Bの失踪以後、今日に至るまで賃料の支払をしていない。)。これに対し、Cは、「自らがBに代わってBの賃料債務を弁済する機会を与えられずに明渡しを請求されるのは不当である。AB間の賃貸借契約が解除されたとしても、自分はAに対抗し得る転借権に基づいて占有している。Bの増改築後の甲建物を基準とした金額を、しかもBの失踪の日から、Aが請求できるのは不当である。」と主張して争っている。
 AC間の法律関係について論ぜよ。