甲は,平成14年3月20日に任意提出した尿の鑑定結果,友人Aの目撃供述及び自白に基づいて,「平成14年3月18日ころ,東京都内のA方において,覚せい剤若干量を注射して使用した。」との訴因で起訴された。公判において,甲は犯行を否認し,Aは捜査段階における供述を覆す証言をしたため,検察官は,上記鑑定結果等から,「平成14年3月上旬ころから同月20日までの間,東京都内又はその周辺において,覚せい剤若干量を使用した。」との訴因に変更請求した。
裁判所は,この訴因変更請求を許すべきか。
覚せい剤使用事犯を題材にして,公判廷における審理の経過に伴い,犯行日・犯行場所及び使用態様が特定された訴因から,これらに幅のある記載がされている訴因に変更の請求がされた場合における訴因変更の可否を問うことにより,訴因の意義・機能,訴因の特定に必要な記載の程度,訴因変更の意義及び本件における訴因変更の可否などについて,基本的な知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。