被告人甲及び乙は,強盗罪の共同正犯として起訴され,併合して審理されている。甲は,捜査・公判を通じて否認しており,乙は,捜査段階で甲と共同して犯行に及んだことを自白し,その旨の検察官面前調書が作成されているが,冒頭手続において否認した。この検察官面前調書は,どのような場合に甲に対する証拠とすることができるか。審理経過に言及しつつ論ぜよ。
共同正犯として起訴された共同被告人の一方が捜査・公判を通じて犯行を否認し,他方が捜査段階では自白したものの公判段階で否認したという事例について,後者の検察官面前調書を前者に対する証拠とすることができる場合を審理経過に言及しつつ論じさせることにより,伝聞証拠禁止の原則,公判手続の進行過程に即した同調書取調べ請求の前提となる手続,刑訴法第321条第1項第2号の適用要件などについて,基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。