警察官は,集団による連続強盗事件の犯行グループの一員である疑いの濃厚な甲の容ぼうと,甲宅に常時出入りする者の容ぼうを写真撮影してこれを被害者等に示し,犯人の特定を行おうと考えた。そこで,警察官は,甲宅向かいのビルの一室を借り受け,望遠レンズを装着したカメラを設置するとともに,そこから甲宅出入口付近の監視を継続し,自宅から路上に出てきた甲の容ぼうを撮影した。また,甲宅から出てきて路上を歩行している乙の容ぼうも撮影した。
これらの写真撮影は適法か。
警察官が,既に発生した集団による連続強盗事件の犯人特定のために,被疑者等の容貌を写真撮影したという捜査の適法性を問うことにより,強制処分法定主義の意義,強制捜査と任意捜査の区別,写真撮影の法的性質と適法性の判断基準などについて,基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。