平成16年旧司法試験刑事訴訟法第2問

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自白の証拠能力 - 偽計による自白

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 現住建造物等放火の共同正犯として起訴された甲と乙は,公判廷において,いずれも公訴事実を否認している。検察官は,甲が捜査段階で警察官Aに対して「乙と一緒に放火した。」旨を述べた供述調書の取調べを請求した。これに対して,甲乙それぞれの弁護人が異議を述べた。審理の結果,警察官Aの取調べ中,否認していた甲に対して,Aが「甲と乙が火をつけるのを目撃した者がいる。」旨の虚偽の事実を告げたため,甲の上記供述がなされたことが判明した。

1 この供述調書を甲に対する証拠とすることができるか。

2 公訴事実に関する甲の被告人質問が行われる前に,甲が死亡したとする。この供述調書を乙に対する証拠とすることができるか。

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 司法警察員が偽計を用いて得た自白調書を例として,自白法則と伝聞法則及びそれらの相互関係について,理解を問う。1は,自白調書に適用される条文の理解と,事例に即した自白法則の適用能力を試すものである。2は,供述者自身に対する証拠としては証拠能力に問題のある自白証書が,共犯者とされる他の被告人に対して証拠となり得るかどうかについて,問題点を整理して分析的に論じられるかどうかを試すものである。