平成17年旧司法試験刑事訴訟法第1問

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令状によらない捜索・差押え - 逮捕に伴う捜索・差押えの実質的根拠
令状によらない捜索・差押え - 逮捕に伴う捜索・差押えの対象物
令状によらない捜索・差押え - 逮捕に伴う捜索・差押えの範囲

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 警察官Aは,覚せい剤の密売人と目される甲を覚せい剤譲渡の被疑者として通常逮捕し,その際,甲が持っていた携帯電話を,そのメモリーの内容を確認することなく差し押さえた。その上で,Aが,無令状で,甲の携帯電話を操作して,そのメモリーの内容を精査したところ,同携帯電話のメモリー内に覚せい剤の仕入先と思われる人物からの受信電子メールが保存されており,同メールに,翌日の某所における覚せい剤売買の約束と思われる記載があった。

 そこで,Aが,同メールに記載された日時に待ち合わせ場所に赴いたところ,乙が近づいてきたので,Aは,乙に対して,甲を名のった上で「約束の物は持ってきてくれましたか。」と言った。すると,乙は,Aを甲と誤認して,覚せい剤を差し出したので,Aは,乙を覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕した。

 以上のAの行為は,適法か。

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 本問は,覚せい剤譲渡容疑での携帯電話の差押えに端を発する一連の捜査手続の適法性を問うことにより,差押えにおける証拠物と被疑事実との関連性,押収物についての必要な処分,任意捜査の適法性の判断基準などに関する刑事訴訟法の基本的な知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。