平成17年旧司法試験商法第2問

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手形法・小切手法 - 為替手形

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 Z株式会社の代表取締役Bは,X銀行から,Z社が融資を受ける条件として,信用のある第三者が裏書した約束手形を差し入れることを要求された。そこで,Bは,高校時代からの友人であるY株式会社甲支店の支店長Aに依頼し,Y社を受取人,手形金額を1000万円,満期を平成17年7月15日とするZ社振出しの約束手形にY社甲支店長Aとの裏書を得たが,Aは,手形の振出しや保証を行うことをY社の内規で禁じられていた。

 Bは,この手形をX銀行に交付し,X銀行は,その手形金額から満期までの利息を控除した金額をZ社に貸し付けたが,Z社は,当該借受金を返済することなく,平成17年5月10日に破産手続開始の申立てをし,同月17日,Z社に対して破産手続開始の決定がされた。

 X銀行が同月18日にY社に対して手形金の支払を請求した場合,この請求は認められるか。

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 本問は,内規で手形の振出しや保証を禁じられている支店長が行ったいわゆる隠れた保証のための裏書の効力について,その裏書を行う権限の有無と内規との関係,支店長の内規違反及び権限濫用の代理行為と善意の手形取得者の保護について,整理された論述をすることができるかどうかを見ることを主眼とするが,あわせて,約束手形の振出人が破産手続開始の決定を受けた場合における満期前遡求についての理解も問われている。