平成19年旧司法試験刑事訴訟法第2問

  解けた  解けなかったお気に入り 戻る 

訴因の変更 - 訴因の変更の要否
訴因の変更 - 訴因の変更の可否

問題文すべてを印刷する印刷する

 検察官は,甲を,「被告人は,乙と共謀の上,平成19年3月4日,東京都内のX公園駐車場の自動車内で,殺意をもって,被告人において,Aに対し,その頸部をロープで絞め付け,よって,そのころ,同所で,Aを窒息死させたものである。」との事実で起訴した。甲は,公判において,「自分はその場にいたが,犯行に関与しておらず,本件は,乙とは別の男がやった。その男の名前は知らない。」旨弁解して無罪を主張した。

 証拠調べの結果,裁判所は,乙とは断定できないが,現場に共犯者がおり,これと甲が共謀したことは明らかであるとして,「被告人は,氏名不詳者と共謀の上,平成19年3月4日,東京都内のX公園駐車場の自動車内で,殺意をもって,被告人又は上記氏名不詳者あるいはその両名において,Aに対し,その頸部をロープで絞め付け,よって,そのころ,同所で,Aを窒息死させたものである。」との事実を認定し,有罪判決を言い渡した。

 以上の手続における問題点について論ぜよ。

出題趣旨印刷する

 本問は,共犯者のいる殺人事件を題材として,訴因の意義・機能,共犯者と実行行為者をめぐって生じる訴因変更の要否,裁判所による罪となるべき事実の判示としての概括的認定の可否等について,基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。