平成19年旧司法試験商法第2問

  解けた  解けなかったお気に入り 戻る 

総則・登記 - 会社の商号

問題文すべてを印刷する印刷する

 運送業を営むA株式会社は,小規模で同業を営んでいるB株式会社に自らの業務の一部を委託していた。B社では,これまで自らの商号によってその事業を行ってきたものの,仕事を得ることが難しくなってきた。そこで,A社は,B社の代表取締役Cに対し,「A社副社長」の肩書を付した名刺の使用を許諾し,さらに,B社は,事務所にA社の商号を表示した看板も掲げて事業を行うようになった。

 その後,B社は,次第に資金繰りが悪化し,事業の継続が事実上困難となってきたが,Cは,上記の名刺を用いて,DからB社の事業に用いている自動車の部品を100万円で購入し,Dは,B社の上記事務所において,相手方をA社と誤認して,当該部品を引き渡した。しかし,その代金は,Dに支払われなかった。

 Dは,A社,B社及びCに対し,それぞれどのような責任を追及することができるか。

出題趣旨印刷する

 本問は,役員である旨の肩書の付与により他社の商号の使用の許諾を受けた株式会社の代表取締役が第三者と取引を行って損害を与えた場合について,当該他社,当該株式会社及び当該代表取締役がそれぞれどのような根拠で第三者に対して責任を負うかを問うものである。解答に際しては,当該他社の名板貸人としての責任,当該株式会社の契約責任及び当該代表取締役の第三者に対する責任について,整合的な論述をすることが求められる。