平成20年旧司法試験刑法第2問

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共犯 - 共同正犯
財産に対する罪 - 窃盗罪
財産に対する罪 - 詐欺罪
財産に対する罪 - 横領罪

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 甲はXとその配偶者Yとの間の子であり,乙はXとその内縁の妻との間の子であってXから認知されている。

 甲と乙は,Xと同居している。甲は,Xが別居中のYから盗んだY所有の指輪を保管していることを知った。そこで,甲は,乙に相談し,二人でその指輪を盗み出したが,その際,乙は,その指輪はXが所有する物であると思っていた。乙は,盗んだ指輪を換金し,その全額を自分のものにしようと考え,盗品であることを秘して指輪を売却し代金全額を自己に引き渡すように甲に命じた。これを了承した甲は,古物商丙に盗品であることを秘して,指輪を売却したいと告げた。丙は,その指輪が盗品であり,時価100万円の価値があることに気付いたが,甲に対して,その指輪には傷があるので買取価格は10万円にしかならないと告げた。甲は,丙のその言葉を信じて,その指輪を10万円で丙に売却した。甲は,丙から交付を受けた売却代金10万円を乙に渡すのが惜しくなり,その全額を遊興費として使ってしまった。

 甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。

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 本問は,親から財物を窃取した子2名が盗品であることを秘してこれを古物商に売却し,うち1名がその代金を自己のために費消し,他方,その古物商も盗品であることに気付き,そのことを秘して不当に安く買い受けていたという事例を素材として,事案を的確に把握してこれを分析する能力を問うとともに,親族間の犯罪に関する特例,横領罪における委託信任関係及び詐欺罪の構成要件等に関する理解とその事例への当てはめの適切さを問うものである。