平成21年旧司法試験刑事訴訟法第2問

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自白の証拠能力 - 偽計による自白

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 警察官Aは,強盗殺人の被疑事実で勾留中の甲を取り調べたが,その際,黙秘権の告知をしなかった。甲は,当初,アリバイを主張して犯行を否認したが,Aが「犯行現場の防犯カメラにあなたの顔が写っていた。」旨の虚偽の事実を告げたところ,甲は犯行を自白し,被害品を友人宅に隠匿していることも供述したので,その内容を録取した供述調書①が作成された。そこで,Aは,供述調書①を疎明資料として捜索差押許可状の発付を受けて甲の友人宅を捜索したところ,被害品が発見されたので,これを差し押さえた。その後,別の警察官Bが,黙秘権を告知して取り調べたところ,甲が犯行を再度自白したので,その内容を録取した供述調書②が作成された。

 裁判所は,供述調書①,甲の友人宅で差し押さえられた被害品及び供述調書②を証拠として採用することができるか。

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 本問は,強盗殺人事件の捜査段階においてなされた警察官に対する自白を題材として,当該自白,これに基づき発見された二次的証拠及び反復された自白の証拠能力を問うことにより,自白法則についての基本的な知識の有無と具体的な事案に対する応用力を試すものである。