A自治会は,「地縁による団体」(地方自治法第260条の2)の認可を受けて地域住民への利便を提供している団体であるが,長年,地域環境の向上と緑化の促進を目的とする団体から寄付の要請を受けて,班長らが集金に当たっていたものの,集金に応じる会員は必ずしも多くなかった。
そこで,A自治会は,班長らの負担を解消するため,定期総会において,自治会費を年5000円から6000円に増額し,その増額分を前記寄付に充てる決議を行った。
この決議に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
自治会のような団体が寄付に協力するために会員から負担金等を徴収することを総会決議で決めることは会員の思想信条の自由を侵害しないかについて,関連判例を踏まえつつ,自治会の性格,寄付の目的,負担金等の徴収目的,会員の負担の程度等を考慮に入れて,事案に即して論ずることができるかどうかを問うものである。