選挙区選出の参議院議員である甲は,参議院本会議での居眠りや野次がひどく,議長や所属政党から口頭での注意をたびたび受けていた。甲の態度はその後も改善されず,平成22年2月某日,甲は酔った状態で本会議に出席し,野次を飛ばすのみならず,対立政党の議員に対し暴力を振るった。
このような甲の問題行動を受けて,参議院は出席議員の3分の2以上の多数による議決で甲を除名処分とした。甲はこの処分を不服として,議員の地位の確認を求めて裁判所に訴えを提起した。
この事例に含まれる憲法上の問題点を,甲が地方議会議員であり,上記と同様の理由で地方議会から除名処分を受けた場合及び甲が参議院議員であり,所属政党から除名処分を受けた場合と比較しつつ論ぜよ。
本問は,憲法第76条の定める司法権について,その趣旨を踏まえた上で,裁判所による司法権の行使に対する制約につき,その根拠の違い及び関連判例に留意し,当該事案への適用を論理的に記述することができるかどうかを問うものである。