皆さんは、夏季長期休暇に実施される法律事務所の夏季研修制度(通称サマークラーク)をご存じでしょうか?
ロースクール生(場合によっては卒業生)を対象として実際の法律事務所での業務を学ぶ研修制度です。これはロースクールと法律事務所とのつながりによって実施されているものですが、ロースクール生にとっては、自分をアピールする場としても絶好のチャンスです。
その一方で、予備試験合格者を対象として行われるウインタークラークというものがあります。
知る人ぞ知るウインタークラークですが、毎年予備試験合格者でもウインタークラークの存在を知らないがゆえに逃す方もいらっしゃるようです。
今回は、予備試験合格者(五大法律事務所内定)から、ウインタークラークの内容と予備試験合格者の就活事情をインタビューにしました。
※本インタビューは、2018年度の予備試験合格者で、2019年度の司法試験合格者からのインタビューです。2021年度の予備試験後はスケジュールが異なる可能性がございます。2020年度の募集要項リンクを下記で添付しますのでご参照ください。
ウインタークラークは11月の予備試験最終合格発表後に、例年11月~2月の間に予備試験最終合格者を対象として実施されます(2020年度は試験日程変更のためやや繰り下げて実施されています)。
いわゆる五大法律事務所だけでなく比較的規模の大きい法律事務所も実施しており、大体30法律事務所程度が行っています。近年では、予備試験合格者を先に取りたい法律事務所が、他の法律事務所に取られないために参入してきているため、ウインタークラークは増加傾向にあります。
ウインタークラークの実施期間は事務所によってまちまちのようですが、大体全日程を5日間程度とり、グループを2つ~5つに分けて各グループ1日~2日のみ行われるようです。各グループの募集人員は30名~50名程度ですので、大体1事務所で200名前後がウインタークラークを受けることができるのです。
内容は座談したり、場合によっては課題を出されたりと事務所によって異なります。
とはいえ、予備試験合格者が450名程度(2020年度予備試験最終合格者は442名)ですので、応募すれば倍率約2.5倍ウインタークラークを受けることが可能です。
また、各法律事務所一斉に行うわけではなく、各事務所日程をあらかじめ指定しています(2020年度分は下記参照)ので、あらかじめ日程をずらして応募すれば複数の事務所に応募も可能です(現にインタビューした予備試験合格者は3事務所ウインタークラークに参加したと話しています)。
ウインタークラーク終了後は司法試験に臨むわけですが、早い法律事務所であれば、司法試験前には内定を出してしまいます。そのため、安心して司法試験に臨むことが可能になります。
通常のロースクール生が大手法律事務所に就職する場合には、書類選考→複数の面接などを経て、狭き門を通らなければなりません。
ところが、ウインタークラークに参加した予備試験合格者は、事務所の方から電話がかかってきて、内定をもらえるというケースが多いです。
つまり、予備試験合格→ウインタークラークを経るだけで、大手法律事務所に就職する可能性がグッと高くなるのです。
各大手法律事務所の採用人数が大体40~50名(内定者の任官(裁判官になること)・任検(検察官になること)を見越して多めに採用するらしい)ですので、ウインタークラークに参加すれば内定倍率は4倍程度になります。
このように、予備試験合格は大手法律事務所で働くための最高のチャンスをつかむことができるのです。
※参考:2020年度のウインタークラーク募集要項
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