平成28年司法試験(論文式)の問題文を先行公開します!
順次アップロードいたしますので、是非ともご活用ください!
公法系第1問(憲法)
公法系第2問(行政法)
民事系第1問(民法)
民事系第3問(民事訴訟法)
20**年5月,連続して発生した次の2つの事件により,性犯罪者に対する再犯防止に社会の関心が集まることとなった。
① 30歳の男性Mが,幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐し,自宅でわいせつな行為をした後で殺害し,死体を山林に遺棄した事件(Mは,6年前にも幼稚園から帰宅途中の女児を誘拐して自宅でわいせつな行為をしたわいせつ目的誘拐及び強制わいせつ事件により,懲役5年の実刑判決を受けて服役し,半年前に刑期満了により釈放されていた。)。
② 35歳の男性Pが,学校から自転車で帰宅途中の女子高校生を道路脇の森に連れ込み,強姦したのちで殺害した事件(Pは,10年前に深夜の公園で成人女性に対する強姦未遂事件により懲役2年の実刑判決を受けて服役したほか,7年前には学校から帰宅途中の女子中学生に対する強姦事件により懲役6年の実刑判決を受けて服役し,1年前に刑期満了により釈放されていた。)。
これら2つの事件に関する報道では,心理学の専門家などが,「一定の類型の性犯罪者は,心理的,生理的,病理的要因等により同種の性犯罪を繰り返すおそれが大きく,処罰による特別予防効果に期待することは現実的でない。このような性犯罪者の再犯を防止するためには,出所後の行動監視が必要である。」旨の所見を述べた。
こうした経験を受けて,超党派の「性犯罪被害の予防を促進するための議員連盟」が結成され,性犯罪者の再犯防止に関する具体的方策を講じるために必要な法整備についての検討が進められ,翌年,議員提出法案として「性犯罪により懲役の確定裁判を受けた者に対する継続監督に関する法律」(性犯罪者継続監視法)案が国会に提出された。
同法律案では,刑法第176条から第179条まで(強制わいせつ,強姦,準強制わいせつ及び準強姦,集団強姦等,未遂罪)又は第181条(強制わいせつ等致死傷)の罪により懲役の確定裁判(その刑の執行猶予の言渡しをするものを除く。)を受けた者が,その心理的,生理的,病理的要因等により再び性犯罪を行うおそれが大きいと認められる場合は,検察官の申立てに基づく裁判所の決定により,20年以内の期間を定めて,当該確定裁判を受けた者が刑期満了,仮釈放等により刑事施設(刑務所)から釈放された日から,その者の継続監視を行うこととされた。
この継続監視とは,監視対象者の体内に埋設された位置情報発信装置(GPS)から送信される位置情報を警察において継続的に取得して監視対象者の現在地を把握することをいい,これを実施するため,警察署には,管轄地域の地図を表示する大型モニターが導入され,同モニターには,監視対象者の現在地が表示されるとともに,同人の前科等の参考情報が表示され,同人が性犯罪やその準備行為を行っている疑いがある場合には警察官が現場に急行できる態勢が整えられることが想定されていた。
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